(2)議事概要(第1回〜第4回委員会)
第1回議事概要
1.日時:平成13年8月23日(木)午前10:00〜13:00
2.場所:八重洲富士屋ホテル 紅梅の間
3.出席者(敬称略、順不同)
【委員】 |
清水委員長、大迫委員、小笹委員、桑江委員、中杉委員、細川委員、堀口委員 |
【オブザーバー】 |
国土交通省:日笠課長補佐 |
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環境省:牧谷課長補佐、川島係長 |
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水産庁:小林専門官、守口専門官 |
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日本エヌ・ユー・エス(株):岸本グループリーダー |
【事務局】 |
(財)港湾空間高度化環境研究センター、国土環境(株) |
4.配布資料
議事次第、委員名簿、座席配置図
5.質疑及び応答
(1)ロンドン条約について
・WAFに書かれていることは必ず守らなければならないものか。それとも自由度が任されているのか。
→WAFは条約を批准した場合拘束力が生じる。但し、WAGなどガイドラインについては、必ずしも守らなければならないことは無いが、その場合はそれなりの根拠が必要。
・バーゼル条約と日本の国内法は有害廃棄物の評価の仕方について整合がとれていない所がある。ロンドン条約と国内法の整合性をまず念頭において議論したいと考えている。
→ロンドン条約は国内法の廃掃法及び海防法に縛りをかけている。Ni,Cr等の重金属の溶出基準はロンドン条約の縛りから来ている。
→例えば「廃棄物防止監査」の欄では一般WAGでは発生量の抑制を促しているが個別WAGでは有効利用(リサイクル)の促進を促している。
・WAFやWAGでいう潜在的影響評価とはupper levelとlower levelの間のものについてアセスメントをすることをいっているのか。
→
個別WAGの5.4.3に書かれている通りである。lower level以下のものについてアセスメントをするか否かについてはLCでも明確にはなっていない。香港で昨秋出されたlower levelは数値が甘すぎるということで否定された。
・モニタリングの位置づけは。
→モニタリングで影響が出てきた時の対応をどうするのか。
→アセスメントの許可の見直しになる。
→短期の投棄に対しての長期のモニタリングでエラーが出た場合は。
→条約の中ではそこまで言及していない。
→許可側の瑕疵という議論にもつながる可能性があるので、投棄場所の選定等を含めて考えなければならない。
(2)化学試験方法について(含有量試験の必要性)
・底質におけるダイオキシン類の環境基準については、含有量方式になる。この場合現在溶出量方式の底質の投入基準との整合性が問題となる。一方土壌についてもダイオキシンの動向を踏まえ、重金属についても含有量にする検討が行われてきている。
・なぜ欧米では溶出量試験でなく含有量試験を使用するのか。
→PIANCでの議論によると欧米では直接の健康リスクだけでなく食物連鎖を通した生物濃縮を考慮した生態系全体へのリスクを考慮して含有量試験を行っている。又、欧米諸国は溶出量試験から含有量試験に移行していっていることを考えると、そういった意味では日本は未だ移行しきれていない意味で遅れているといえる。
→日本は水に溶けやすいものを中心に考えているため溶出量基準となっている。但し含有量基準の方が安全サイドである。PCB、Hgの暫定基準は、含有量基準となっている。
→いずれは溶け出す恐れがあると判断すれば含有量基準の方が安全だ。
→オスロ・パリ条約のアニュアルレポートでは北海に有害物をどれだけ入れたかという観点から報告がされている。負荷をどれだけ与えたかということで含有量重視なのではないか。
→北海のように総量規制をやるという意味では含有量。
・浚渫汚泥に関する性状調査の例を示せるのか。
→例えば溶出量試験が○で含有量試験が×という実験結果が対比できるデータがあれば議論できる。浚渫土砂でなくても土壌の試験データがあるかもしれない。
・ダイオキシンの溶出量試験と含有量試験を見比べた実験データはあるのか。
→ダイオキシンについては今始めるところだ。昨年、新潟港の方で有機塩素化合物について異常値が出て調査を行った。そこでは両方のデータがあるのを記憶している。
→底質のダイオキシン類の環境基準に係る議論の一端を紹介すると、魚貝類の種類によって溶存体で摂取するか吸着体で摂取するかの話でも違う。結局のところデータを統計的に分析して環境基準を模索するしかないがどこかで割り切りが必要になる。
(3)基準値について(複数段階の基準値の必要性)
・複数段階の基準値の必要性以外にも複数の物質の基準値の組み合わせでも規制している国があるようなので調べておくこと。
・外国では複数段階の基準値があるが個別WAGでいうようにupper levelとlower levelの2段階にしていくのか。又lower levelのクライテリア等基準の意味の背景をきちんと捉えておく必要がある。
→オランダでは5段階の基準が存在しているが、実際に運用しているかどうかは疑わしい。実態を数カ国調べてみる必要があるのではないだろうか。
(4)生物試験について
・バイオアッセイについて環境省の見解はどのようなものか。
→海洋投棄の個別許可の際アセスをする→廃棄物の性状の把握をする→生物特質の影響把握をするという段階をおって議定書で述べられている。生物特質の把握は必要だと考えているが、バイオアッセイの必要性については考慮中である。
・ドイツでは土壌自体のバイオアッセイのプロジェクトを行っている。
→アメリカ、ヨーロッパ(最近アジアも参加した)で底質の毒性評価について検討を行っているセタック(SETAC)という学会があり近々なんらかの報告がなされるときいている。
・浚渫土砂のバイオアッセイについてはPIANCで議論されている。
・平成7年〜9年にかけて環境庁で行われた生態影響試験についてはOECDのテストガイドラインに従い、環境保健部環境安全課で今も実験されている。
(5)浚渫土砂の我が国の実態について
・日本における浚渫土砂の海洋投棄、有効利用等の集計表はあるのか。
→港湾整備事業として行われているものについては把握できる。
→他機関で行っているところはあるのか。
→例えば防衛庁、河川関係で行っている。全国的な実態について示せるように努力する。
(6)その他
・影響評価システム(包括アセスと個別アセス)の変更の必要性についても議論するのか。
→行政的なところはあるが必要があれば議論の対象にする。
・環境に与える影響を考慮するという意味では試験方法以外に上を塞いでしまう等の物理的影響も議論したい。
・アメリカでは、有害水底土砂を処分する処分場としてCDFというものがある。これは日本の管理型処分場と安定型処分場の中間に相当する。
・イタリアで10月に有害水底土砂の国際会議があるのでその報告を次回にする予定である。
・資料−4「しゅんせつ物の個別評価ガイドライン」について(仮訳)の訳を見直してほしい。
・資料−5の添付資料の
表−1における全PCBとΣPCBは同じ。
・参考資料目録に加えた方が良いと思われる書籍、論文があれば事務局に指摘してほしい。
6.次回開催
2001年10月24日(水)午後13:30〜16:30(予定)
1.日時:平成13年10月24日(水)午前13:30〜16:30
2.場所:八重洲ターミナルホテル 2階会議室
3.出席者(敬称略、順不同)
【委員】 |
清水委員長、大迫委員、小笹委員、桑江委員、田中委員、中杉委員、細川委員、細見委員、堀口委員 |
【オブザーバー】 |
環境省:川島係長 |
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農林水産省:小林専門官 |
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日本エヌ・ユー・エス(株):田中第二事業部員 |
【事務局】 |
(財)港湾空間高度化環境研究センター、国土環境(株) |
4.配布資料
議事次第、委員名簿、座席配置図
5.質疑及び応答
(1)資料1について
・SETACの話は発言した委員の名前が違ったので修正しておいてほしい。
(2)資料2〜3について
・覆砂によるキャッピングとはどういう事をいうのか。又キャッピングの事例2で昭和59年9月に個体数、湿重量共に覆砂地点が激減している理由はあるのか。
→
別添資料2の事例は全て旧運輸省港湾建設局が底質浄化のパイロット事業として行った事業例の一部。汚染されているシルトの部分に砂撒き船できれいな陸砂や海砂で覆砂する。事例2については覆砂面積が小さいので枠を使用している。
→キャッピングによる底生生物への影響という観点ではなく、清浄な砂で覆砂したことによる底質生物の生息環境の改善という観点で見ている。
→コントロールの生物変動と覆砂した範囲の中の生物変動を比較したのか。
→覆砂直後には生物群が減少するが、追跡調査を見ると長期的に見れば回復する。マイナス面の影響は問題ないだろうと判断している。
→
事例2で昭和59年9月に個体数、湿重量共に覆砂地点が激減している理由については貧酸素の影響と考えたがそれ以上深くは追求していないのでよくわからない。
→もともとあった底質よりきれいな土を投入している結果であるから実際の浚渫土砂の海洋投入では同じ状況になるとはいえない。
→現実には、隅田川河口の一番汚れている底質は新海面処分場に、大井埠頭の海に近い比較的きれいな底質は、浅場造成や深掘り跡に処分している。
・埋立処分量の量の定義は。
→設計量(浚渫前の深浅測量した地盤高と浚渫後の計画地盤高より)である。海上保安庁のデータについては届出たものからつみあげたと考えられる。港湾局については事業量からつみあげたものだ。
・瀬戸内海の直島沖に豊島の廃棄物を処理する施設を作るので、事前に直島沖で底質の溶出量試験と含有量試験を行った公表データがある。
・底質の含有量試験のデータベースでまとめているものが環境省にあるのではないか。
→そういう調査はある。公表しているかはわからない。
・三大湾における底質含有量の値はダイレクトに3か国の基準値と比較できるものなのか。
→底質の試験法についてJISの環境省告示基準と他国の基準の比較をしてみる。
(3)資料4について
・1.(4)有害化学物質の試験方法については事務局案で結論が出ているのでは。
・日本における浚渫土砂の海洋投入処分の実態を踏まえて影響シナリオを整理しないといけない。また、化学試験は人の健康影響を主目的としており、生態影響までカバーする意味でバイオアッセイがあるという理解でよいのか。
→浚渫土砂について環境影響評価の理想的な形をまず検討する方が良いのでは。「土壌の直接摂取によるリスク評価等について」を参考に底質の物質がどういう経路を通って人を暴露するかという図式を描くことは必要だ。又掘る場所と投棄する場所の特性が違うことによる影響についても考えなければならない。
・何を最低限遵守するのか。生物影響をどこまで抑えるかを明確にした上で関連するところを決めていった方が良いのではないか。
→現行法体系の中で浚渫土砂だけ他の廃棄物と違い突出させるわけにはいかない。
→生態影響についてはまだ公的なレベルでは十分な検討がされていない。
・浚渫土砂には分析する必要がある有害物質以外に様々な物質(例えば植物プランクトンの増殖に必要な金属等)が含まれており、そういったものの影響も検討する必要がある。
・バイオアッセイの意義は次のような影響シナリオを客観的に把握するためにある。1.生態影響、2.複合影響、3.現在現行で分析している物質以外の物質の影響、4.別の場所に投棄するという影響、5.上限値下限値の間のグレーゾーンでの影響。
→バイオアッセイがグレーゾーンを評価するときにどれだけ有用性があるのか現実的には難しいものがある。
→上限値以上というのは絶対に捨ててはいけない、下限値以下なら無条件で捨ててもかまわないという決め方もあるのではないか。問題は下限値と上限値の間にどういう条件をつけたらいいのかということになる。
→上限値と下限値の設定の考え方と方法を決める必要がある。
・汚染水底土砂に関する会議で欧米ではバイオアッセイがずいぶん行われていることがわかった。アメリカの陸軍工兵隊の浚渫におけるリスクアナリシスにバイオアッセイを使っている。しかし、実務に携わっている港湾の技術者の中にはバイオアッセイの有用性に首をかしげている意見もある。
→欧米で実際に行われている環境影響評価がWAFになっている。
・浚渫土砂の海洋投入の環境影響評価については、化学試験の基準値、バイオアッセイ、事前アセス等でリスクを担保し、それでも不確かな部分については事後モニタリングでリスク担保するといった全体を通して影響評価の担保を何段階かに分けたシステムにした方が受け入れられやすいのでは。
→手続きがきちんと出来ているかという適合モニタリングは、日本ではモニタリングとは言わずシステム監視という。
・資料−4の図1に示す想定される底質評価の手順(案)の初期スクリーニングの部分において、日本の自然条件や社会条件を考えると自明なことが多いので、要らない項目がいくつかあるのではないか。
・日本の現行の基準値は環境に影響を与えるか否かという判断をした上で決めているので当然基準値は一つとなる。WAFは日本より少し進んでいて、個別の投入処分ごとに本当に影響があるのかどうか判断するという体系になっている。上限値はこの値を超えると誰が見ても影響があるという観点から、下限値はこの値以下なら誰が見ても影響がないという観点から決めている。
・外国の基準値は、地域の特性を考えて決める傾向にある。一方日本では地域の特性を考慮せずに一律に基準を決めている(PCB、Hg)。日本の現行の基準でなにが悪いのかという話を整理した方がよいのではないか。日本の基準値の方が、欧米の上限値よりも厳しい値に設定しているのでは。
・暴露経路をどう考えるかで含有量試験でするのがいいのか、溶出量試験でするのか考えるべきだ。暴露経路については不確かなところがあり、そういったものについては含有量試験をする方がいいのではなかろうか。環境省の基準では飲料水の基準から来ており溶出量試験となっている。
→生物に移行した濃度が大切なら底生生物をエンドポイントと考え、底生生物内の濃度をはかるやり方もある。
→溶存態として評価されるものの中には微少な懸濁物質もある。暴露経路に関する議論の中でそういったことについても整理する必要がある。
→絶対的な指標のない状況ではWAFのいう段階的な評価方法は有効ではないか。
→含有量試験についても例えば六価クロムについては溶出量試験と変わらなくなってしまうので分析方法について細かい議論をせずに割り切って整理しないといけない。
→日本の現行の環境基準は、飲料水の基準となっているので底質の評価をする際には適当でないかもしれない。
→人の健康という意味で、暴露経路を考えた場合、日本では他の国より魚からの暴露が大きくなる。ほかの国よりも厳しくやらなければいけないかもしれない。そういうことも踏まえて議論をしなければいけないのでは。
→食べ物の議論はeatable part、生態系でモデルをつくろうとするとwhole bodyで濃縮係数を出す。人間が口にするかどうかだけだったら、内臓部分とかを取り出してその食肉部だけを議論してもいいかもしれない。
・生物学的特性把握のほうのバイオアッセイはどこでこの試験方法をつくっていくのか。水産総合研究センターでつくらなければいけないかもしれない。
→本委員会の議論では欧米で行われている情報を提供してご審議いただく方法で考えている。
→JISでは淡水産生物でのバイオアッセイ方法は色々あるが、海産生物のものはほとんどない。いわんや底質を介してとなると更に難しい。かなり濃度の高いところを抑えるような試験では化学試験の方がバイオアッセイよりも正確なデータが出る気がする。WAFではバイオアッセイの方が化学試験よりも上位に来ているがその意味が良くわからない。
→化学試験だけでは全ての物質は分析できないので、抑えられないところを実際のバイオアッセイで押さえるという意味ではないだろうか。
→下限値はかなりバックグラウンドに近い値になっていて通常はそれよりオーバーする。そこをバイオアッセイで掬う。
→浚渫についてはせざるをえない側面があるので、一般国民に納得してもらうためにWAFで提案されている段階的なアセスメントをするという面があるなら、この順番は納得できる。
・上限値と下限値のグレーゾーンを何段階かに分けてバイオアッセイもそれに相当して何段階かにクラス分けする考え方もある。
→感度を考慮した試験方法のクラス分け。
→site specificな生物群集に対するクラス分け。
→WAFには「化学的、物理的分析、入手可能な生物学的情報に基づいて評価できない場合、生物学的試験を実施すべき」と書いてあるので、生物学的情報を考えるにはsite specificの情報を考えることが重要だ。
・化学分析で掬えなかったリスクを掬うために行うバイオアッセイは、1〜2年の長期間をかけて慢性毒性を見るのが良いのではないだろうか。WAFやWAGでは1ヶ月程度を想定しているようだが、それで慢性毒性の影響を見ているといってよいか。
→生物のライフサイクルによって、単純に絶対的な期間の長さでは決められない話もある。
→WAFやWAGで言っている長期間バイオアッセイでは2週間で大人になるような生物を使った場合の1ヶ月程度を試験期間としているようで、調査項目としては増殖率などを考慮している。
(4)資料5及び参考資料について
・特になし
6.次回開催
2001年12月25日(火)午後13:30〜16:30(予定)