(1)委員会設立趣旨と委員会の議論の進め方(案)
浚渫土砂海洋投棄に係る環境影響評価調査研究委員会設立の趣旨
(第1回委員会提出資料)
1.委員会設立の趣旨
浚渫土砂の海洋投棄に係る海洋汚染防止については、ロンドン条約(「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」)によって枠組みが定められている。同条約の1996年改正(議定書採択)により、現行の投入禁止リストに代わって投入可能な物のリスト(リバースリスト:浚渫土砂を含む)、並びに厳格な管理と影響評価に基づき廃棄物の海洋投入処分を規制する一連の手続き(廃棄物評価枠組み、WAF)が国際的に導入されることになった。現在、日本では、条約議定書への合意を目指して国内調整が行われている。ロンドン条約議定書の発効は2〜3年後と予想され、それに備えて技術的なポイントについて調査研究を行っておく必要がある。
日本における現行の浚渫土砂の試験・評価方法は、議定書を比較的容易に批准できる海外諸国のものとは異なるとされる。日本における議定書の導入にあたり、検討を要すると考えられる主な違いとしては、以下が考えられる。
(1)浚渫土砂の試験方法の違い
[1]化学試験方法
浚渫土砂の試験方法は、日本は溶出量試験結果をもって基準値と比較するのに対し、海外諸国では含有量試験結果をもって基準値と比較している。
[2]基準値
日本の基準値が一段階の基準であるのに対し、海外諸国では複数段階の基準値を持っている国が多くみられる。
[3]生物試験
ロンドン条約議定書に基づく「廃棄物の評価ガイドライン」 (Guidelines for the Assessment of Wastes or other matter that may be considered for dumping:WAG、2000 年9月採択)では、浚渫土砂を含めた廃棄物を処分する際、従来の化学試験に加えて生物試験の必要性について言及しているが、日本ではまだ生物試験の経験が少ない。対して、海外諸国では、既に生物試験を導入している国がみられる。
(2)影響評価システムの違い
海外諸国では、各浚渫物処分案件について個別の影響アセスメント(影響評価)を行い、処分方法・処分場所ともに案件ごとに決定している。一方、日本では、特定の化学物質の一律基準による判定、投入処分海域・投入処分方法設定を通して、国により包括的な影響アセスメントを実施している。
本委員会では、主に技術的観点を中心に欧米の主要な文献を調査し、日本において今後目指すべき方向と方式について議論し、成果をとりまとめることとする。
(財)港湾空間高度化環境研究センターに対する日本財団の補助は、平成13〜14年度の2ヵ年が予定されている。平成14年度は、平成13年度の結果を踏まえ、活動内容を決めることとする。
2.作業工程
作業工程は表・2のとおりであり、委員会の開催回数は4回(予定)とする。
表−2 作業工程
(第1回委員会提出資料)
1.海外の方法と比較した場合の我が国の底質評価方法における課題
(1)化学試験方法について
・含有量試験の必要性
(2)基準値について
・複数段階の基準値の必要性
(3)生物試験について
・試験方法について
・供試生物種について
(4)その他の要検討事項(例:モニタリングのあり方など)
2.参考資料の内容