(3)船首、船側それぞれの崩壊の推定法
(1)、(2)で求めた船首、船側それぞれの崩壊量と反力の関係式を用い、それぞれの崩壊量を推定する。構造が吸収すべきエネルギーは式(2.1.1)より求められる。双方の反力がちょうど釣り合うように、エネルギー吸収がちょうどその値になるまで双方の崩壊を逐次進展させていくことにより、それぞれの崩壊量を決定することができる(第5章、図14、図18、図21参照)。
6.4 本評価式の適用例
想定衝突船をVLCCとし、現行基準により設計された試解析対象船(照射済核燃料等運搬船)を被衝突船とした場合について本推定式から推定される破壊挙動を基にして、現行基準と新たな評価式との比較を行った。
扁平型VLCCが15 ノットで衝突した場合の船首、船側の崩壊量はそれぞれ1950mm、2150mm(縦通隔壁までの距離の0.64倍)と推定された。現行基準ではT-2タンカーに対して船側の崩壊量がほぼ3370mm(縦通隔壁位置)と推定されているのに比べると、まだ1m以上の余裕があることになる。
尖鋭型VLCCが15ノットで衝突した場合の船首、船側の崩壊量はそれぞれ4050mm、2750mm(縦通隔壁までの距離の0.82倍)と推定された。尖鋭型の場合には、接触断面積が小さくなるために反力が小さくなり、必要な破壊吸収エネルギーレベルに達するまでの船側及び船首の崩壊量は大きくなる(図25参照)。