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II. ウェルカム・イン予約センター事業の実施概要
1. 予約斡旋事業
1)予約斡旋の実施体制
 外国人旅客の経済的旅行ニーズに見合う手頃な料金を提供し、彼等を積極的に受け入れる宿泊施設(ウェルカム・イン予約サービス加盟宿泊施設、以下“加盟宿泊施設”)は昨年度末で262軒まで減少したが、平成15年3月31日現在の登録施設数は270軒と微増だった。
 
加盟宿泊施設の種別および地域別構成
 
 平成15年度は16軒の新規登録があったものの、8軒の脱退があった。登録施設を種別で見てみると、旅館が117軒(43.3%)ビジネスホテルが64軒(23.7%)となっており、この2種で全体の67%を占め、加盟宿泊施設の主流である。次いで民宿(28軒)、ホテル(24軒)、ペンション(17軒)、その他(9軒)、ユースホステル(8軒)、国民宿舎(3軒)となっている。
 県別では、京都府(63軒)、東京都(54軒)、大阪府(15軒)、長野県(14軒)、広島県(11軒)、岐阜県(10軒)、栃木県(8軒)、奈良県(8軒)の順になっている。
 
 加盟宿泊施設の要件の詳細は、添付資料(1)「ウェルカム・イン予約センターのご案内」の通りであるが、次の3要件が最も基本的なものである。
 
○外国人旅客を積極的に受け入れる意欲があること。
○旅館業法に基づく営業許可を取得していること。
○室料が税、サービス料別建てで、一人利用時で8,000円以下或いは二人利用時で13,000円以下の客室を有すること。季節料金を設定している場合は、8ヶ月以上が上記の規定に合致していること。
 
予約申込の受付は、当予約センター国内5ヶ所の予約カウンターでの対応と本部でのEメール、ファックス及び手紙による海外からの申込の二つに分けられる。
 5ヶ所の予約カウンターは、外国人旅客向けの総合観光案内所として、長年外国人来訪者に観光情報を提供してきた実績のある、国際観光振興機構(JNTO)の東京ツーリスト・インフォメーション・センター(TIC)並びに当財団が運営している成田空港(第一ターミナル及び第二ターミナル)及び受託運営している関西観光情報センター内にそれぞれ設置されている。JNTOの京都ツーリスト・インフォメーションセンターは平成16年1月末をもって閉鎖となり、それに伴い京都予約カウンターも16年1月末をもって一時閉鎖となった。京都における外国人観光客への情報提供・案内業務は京都府が引き継ぐこととなり、平成16年4月1日より、財団法人京都府国際センター内に案内カウンター、Kyoto Tourist Informationを開業し、京都予約カウンターも同カウンターの一部を借り、4月1日より再開した。
 外国人旅行客の中には、事前に予定を決めないで、来日してから宿を手配する人々が多いことから、京都の案内所及び予約カウンターがない2月から3月の間はなるべく他のカウンターで予約を取ってゆくようすすめた。
 海外からは、従来よりEメール、ファックス及び手紙で受け付けているが、手紙及びファックスでの申し込みは極端に少なく、月平均1、2件であった。平成14年8月19日より開始したインターネット簡易応答システムは、インターネット環境が整っていない施設や直接回答が困難な施設は本部にて回答作業を代行している。
 
 
 外国人旅客による低廉宿泊施設の利用促進に当って、最大の問題は外国語でのやりとりである。円滑な外国人旅客の送客と受け入れのためには、旅客が必要とする基本情報を、予約時点であらかじめ提供しておくことが肝要である。そのために、以下の予約書類を作成し、予約成立時に宿泊客に交付している。
 
○予約確認書(Reservation Confirmation)
 予約成立時に外国人旅客及び加盟宿泊施設それぞれに手渡し或いは送付する。
○加盟宿泊施設情報(Welcome Inn registered property)
 加盟登録時に提出を求めた「ウェルカム・イン予約サービス宿泊施設調査票」に基づき、各加盟宿泊施設毎に作成した英文情報(A4判)で、次の項目を掲載。
 
・名称(日英併記)
・住所(日英併記)
・電話、ファックス
・最寄り駅からの到達手段及び所要時間
・客室料金表
・食事料金表
・税、その他付帯料金
・アメニティー
・直接予約を受け付けるか否か
・使用可能なクレジットカード
・旅行小切手の使用の可否
・チェック・イン/チェック・アウト時間
・門限の有無、超過料金
・キャンセル料
・館内諸設備
・周辺環境
・建物の様式
・ホームページアドレス
 
○アクセス地図
 最寄駅あるいはバス停からのアクセス地図。外国人旅客が地元住民に道を尋ねたり、彼等自身が目的地点を確認するために役立つよう日・英文併記で作成。
 従来の地図は全て書き起こしたものであるが、今後は地図管理の合理化を図るために、市販の地図ソフト等を利用し、ホームページ用の地図と合わせて改訂する方向で検討中である。
 
 平成15年度の予約斡旋状況は下表の通り。ワールドカップにより、過去最多の申込受付があった昨年度と比べると、受付件数で15.2%減、成立件数では15.9%減となった。しかし、キャンセル数は対前年比35.7%と大幅に減り、実泊件数では13.4%減にとどまった。予約成立率は75.7%で若干上がった。
 
  平成15年度 (対前年比) 平成14年度
予約申込受付件数 16,508件 (-15.2%) 19,477件
予約成立件数 12,489件 (-15.9%) 14,860件
キャンセル等件数 709件 (-35.7%) 1,103件
実宿泊件数 11,671件 (-13.4%) 13,480件
取扱人数 21,914人 (-13.0%) 25,196人
延べ宿泊人数 44,332人泊 (-10.0%) 49,304人泊
不成立件数 2,793件 (-26.1%) 3,780件
成立率 75.7%    (-0.6%) 76.3%
 
 ウェルカム・イン予約サービスは、予約金を含む金銭の収受を一切行わないだけに、本予約サービスの維持にとって最も懸念される問題は無断キャンセル(ノーショー)の発生である。訪日外国人旅客は一時滞在者であり、国内を周遊するだけに、ノーショーがあっても、連絡を取ることが困難であること、また、予約確認書に彼等の旅券番号や本国の住所を記入させてはいるものの、無断キャンセル料をめぐる国際間のやりとりは経費がかかる等が、この問題の解決を困難にしている。
 予約センターでは、無断キャンセルを防止するため、予約窓口で口頭で注意をするのみならず、予約確認書の裏面(添付資料(6))及び英文宣伝印刷物「Directory of Welcome Inns」内で、「無断キャンセルは、予約センター及び外国人旅行者に対する加盟宿泊施設の信頼を失わせ、この善意の予約センターが充分に機能しなくなり、将来予約センターを利用しようとする他の旅行者の迷惑となる」、「無断キャンセルの記録のある方からの予約申込は今後一切受け付けない」旨訴えている他、クレジットカード番号等の報告を要求するなどの対策を講じている。
 これまで連絡のあったノーショーの件数については、以下の通り。
 
年度 予成立件数 実泊件数 ノーショー件数 ノーショー発生率
平成12年度 11,947件 10,555件 14件 0.11%
平成13年度 16,096件 11,300件 21件 0.13%
平成14年度 19,477件 13,480件 10件 0.05%
平成15年度 16,508件 11,671件 20件 0.12%
 
 外国人旅客の利用に適し、外国人旅客の受け入れに積極的な加盟宿泊施設を増やすため、次の諸事業を実施した。
 
予約斡旋状況リポートの作成
 勧誘対象の宿泊施設経営者に最新の予約斡旋状況を示し、外国人旅客の旺盛な宿泊需要や具体的なプロフィールについての理解を促すとともに、これら経営者の外国人旅客受入れ意欲を喚起するため、「ウエルカム・イン予約センター平成14年度の予約斡旋状況」リポートを作成し、適宜配布した。
 
 4月3日に富山市で北陸3県の宿泊施設を対象とした勧誘説明会を行った。富山コンベンションビューローにご協力いただき、説明会への参加希望施設をつのったところ、富山県10軒、福井県2軒の計12軒の参加をいただき、当予約センターの説明を行った。
 
 ウェルカム・イン加盟要件を満たしていることが証明できる(日本ホテル協会会員等)施設を除き、基本的に視察を行い、その結果に基づいて加盟の可否の決定を下すこととしている。
 今年度は18件の新規加盟申請があり、その内1件の視察を行なった。15件の加盟を承認し、3件については審査中である。







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