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2. GMDSS設備サービス・ステーションについて
(1)GMDSS設備サービス・ステーションとは
 GMDSS設備サービス・ステーションとは、船舶検査の方法附属書Hの別記4の「GMDSS設備サービス・ステーションの施設等の基準」(以下「サービス・ステーション基準」という。)に適合し、管海官庁から「GMDSS設備サービス・ステーション」としての証明書の交付を受けた事業場をいいます。
 このサービス・ステーションは、定期検査時等において、所定の「社内整備標準」に従ってGMDSS設備(ここでは航海用具のみを対象とする。)に係る整備を行い、かつ、その自主検査の結果を書類(整備記録等)で管海官庁又は日本小型船舶検査機構の支部あるいは(財)日本海事協会の支部に提出することにより、船舶検査官又は検査員の行う定期検査及び中間検査時の立会いが省略されることになっています。
 上記関連通達の抜粋等を付録56及び9に掲載します。
 なお、GMDSS設備サービス・ステーションが管海官庁などに提出する整備記録等の用紙(付録13の様式GM−1GM−2GM−3GM−4GM−5GM−6GM−7)は、当協会で準備しているものを使用して下さい。
 これらの概要を図3.1のフローチャートで示します。
 このフローチャートで分りますように、GMDSS設備サービス・ステーションとなるためには当協会で実施している資格を取得することが前提となっています。
 
図3.1 GMDSS設備サービス・ステーション関係のフローチャート
(拡大画面:48KB)
 
(2)GMDSS設備サービス・ステーションになるためには
 GMDSS設備サービス・ステーションになるためには、前述のようにサービス・ステーション基準に適合しなければなりません。
 このサービス・ステーション基準には「施設及び設備」「責任者及び技術者」「社内整備標準」及び「整備実績」の4つの要件が定められており、先ずはこの要件を満たすことが前提条件となります。
 以下に、これら要件の詳細について説明します。
(1)施設及び設備
(イ)施設
 試験及び検査を行うために必要な機器並びに備品の保管場所を有していなくてはなりません。
(ロ)試験設備
(i)GMDSS設備の整備に必要な機器・備品として次のものが必要です。
・周波数測定器(200MHz以下の周波数の測定が可能なもの)
・電力計(30W以下の電力の測定が可能なもの)
・ストップ・ウォッチ
・テスタ
(ii)周波数測定器及び電力計は精度維持のため年1回の校正を必要とします。
(2)責任者及び技術者
 GMDSS設備に係る適切な装備工事及び整備を行うための十分な技量及び関係法規等の知識を有する業務実施上の責任者(以下、「責任者」という。)(1名)並びに適切な技量及び知識を有する技術者(以下、「技術者」という。)(1名以上)がいなければなりません。
(イ)責任者
 責任者は、当協会の航海用無線設備整備士の資格を保有していなければなりません。
 なお、責任者が病欠、出張等の理由により不在となった場合、業務に支障のある事業場においては、責任者が不在の間業務を代行する者(以下、「責任者代行」という。)をあらかじめ選任しておくことができることになっていますが、この責任者代行も当協会の航海用無線設備整備士の資格を保有していなければなりません。
(ロ)技術者
 技術者として認められるのは、3年以上の実務経験を有する者とされていますが、技術者も当協会の航海用無線設備整備士の資格を保有していることが望ましいのは言うまでもありません。
(3)社内整備標準
 国土交通省の定めた「ナブテックス受信機整備基準」「高機能グループ呼出受信機整備基準」「VHFデジタル選択呼出装置整備基準」「VHFデジタル選択呼出聴守装置整備基準」「デジタル選択呼出装置整備基準」及び「デジタル選択呼出聴守装置整備基準」に適合する社内整備標準を保有していなくてはなりません。
 なお、この社内整備標準には少なくとも次の事項が記載され、整備に活用されていなければなりません。
(イ)整備業務実施上の責任者
 責任者(1名)及び責任者代行(3名まで)の氏名、資格の種類・番号、認定年月日が記載されていることが必要です。
(ロ)整備及び点検要領
 各機器及びケーブルの布設等の点検・設備の方法、判定基準等が記載されている必要があります。
(4)整備実績
 GMDSS設備(航海用具)の対象となる各機種ごとに5台程度の整備実績が必要ですが、整備実績が無くても、航海用レーダー等やその他の無線設備の装備・整備実績が十分ある場合、あるいは、船舶検査官がその整備内容を判断し、十分な設備能力を有すると認めた場合は、GMDSS設備サービス・ステーションとして認められています。
 なお、実績がなくて証明書が発行された場合は、十分な設備能力を有していることの確認のため一定の実績を積むまで、船舶検査官による立入りが随時行われます。
 以上、GMDSS設備サービス・ステーションとなるための必須事項を述べましたが、そのための証明書交付申請手続きについては次項で詳しく説明します。







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