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同買収は、原子力空母の母港がサンディエゴに移されるのに対応して西海岸におけるサービス拠点を確保することにより、空母を中心とした海軍艦艇に対する総合的なサポート体制を強化するために行われたものである。またニューポート・ニューズ造船は、1996年以降、アラブ首長国連邦の海軍及びコースト・ガードの小型舟艇の建造・修繕等を行うアブダビ造船所の合弁事業にも参画している。

艦艇建造分野においても同社は、ジェネラル・ダイナミクスのNASSCO買収に対抗して、1999年初頭にアボンデール・インダストリーズとの合併について一旦合意に達し、これにより艦艇市場における業界内の支配力維持を図るとともに、メキシコ湾岸における艦艇のサービス拠点を確保しようとした。しかしながらその目論見は、リットン・インダストリーズとのアボンデール・インダストリーズ買収競争に敗れて結局失敗に終わった(詳細は2-4(2)参照のこと)。

ニューポート・ニューズ造船は、タイトルXI融資保証の復活・輸出船への適用をはじめとするクリントン政権の米国造船振興策の追い風を受けて、1994年10月以降、46,500DWTのダブルハル・タンカー9隻を受注し、商船建造市場への再参入を果たしたかに見えた。しかしながら、その建造で巨額の損失を出したために、9隻の受注のうち3隻をキャンセルするとともに、最終船建造後に商船建造市場から撤退することを1998年3月に発表している。

 

・Friede Goldman Halter

Friede Goldman Halterは一連の買収によりオフショア施設の設計・エンジニアリング及び建造・改造・修繕分野の最大手となった企業グループである。

前身となるFriede Goldman International(FGI)は、セミサブリグの修繕及びアップグレードを手がけていた造船所HAM Marine(ミシシッピ州パスカグーラ)の所有権を有していた投資グループが、オフショア部門を専門にした設計・エンジニアリング会社であるFriede&Goldman社(ルイジアナ州ニューオリンズ)を買収後に、その両社の親会社として1997年に設立したFriede Goldmanが発展したものである。

FGIは、1998年1月にはカナダのメリーズタウン造船所(ニューファウンドランド州メリーズタウン)を買収し、さらに1999年9月にはオフショア部門のライバルであるハルター・マリン・グループを買収することにより、オフショア部門の最大手となるとともに、海軍艦艇を建造する大手3グループに次ぐ第4の造船グループに成長した(詳細は2-4(3)参照のこと)。

 

 

 

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