第4回研究委員会(1999-12-10)
唯是康彦氏「海洋資源問題入門」
小川 ご歓談時間が終了しました。では続きまして、12月10日に行ないました第4回研究委員会における千葉経済大学唯是康彦先生の講義(176〜191頁参照)と質疑応答(191〜206頁参照)について、秋元さんにまとめていただきます。テーマは、海洋資源問題で、その入門編を世界的権威である唯是先生にお願いしたわけです。唯是先生は食糧問題全体の専門家ですので、講義では、もったいない話ですが、全体には目をつぶりまして海洋の食糧資源についてのみお話をうかがいました。なお、唯是先生には、特別に原稿を依頼しまして、食糧問題全体から解き起こした漁業資源に関する論文をお書きいただきました。この論文が「海洋と漁業資源」ですが、講義録と併せて掲載しましたので、ごらんください。まず、講義をざっと読んでいただき、精密な議論は論文(207〜229頁)で確認するというのが、よろしいのではないでしょうか.....。
27:唯是先生講義のアウトライン
秋元 それでは、唯是先生の講義内容をご紹介しますが、講義では、海洋資源がいまこういう状況になっており、これからどうやっていくのがよいか、という提唱にまで踏み込んだ議論をしていただきました。
事務局のほうで講義録を配布されたようですが、1時間で先生のほうからお話しいただいた内容は次の通りでした。
1:食料の安全保障
2:世界は食糧危機なのか?
3:水産業に対する需要圧力
4:水産業の三つの方法(増殖、養殖、栽培漁業)
5:ハイテクの応用
6:統計からみる日本の漁業、世界の漁業
28:最大持続可能漁獲量
唯是先生は、マキシマム・サステイナブル・イールド(最大持続可能漁獲量)の計算そのものが非常に難しいというお話をされました。
例えば魚には「捕れば捕るほど増えるという妙な習性」もある。捕られると、魚が「ああ大変だといって子孫を増やす」ということで、人間世界にも、ホントかウソかわかりませんが、「戦争をよくやるところは男の子が多い」というDNAのようなところがあるとかないとか。
唯是先生がおっしゃったのは、「魚を捕らないで放っておけば、むしろ減るようなところもある」ということです。専門家のおっしゃることは、ここまでくると深遠というか、哲学的というか、素人の理解を超えております。