日本財団 図書館


第3章 今後への課題と提案

 

3-1 今後の課題

 

これまでの調査で明らかになった問題点に関して、今後、姉子の浜の鳴き砂を大切な資源として保全活用していく上での課題を提起する。

(1) 周辺開発の規制(1-2-(3)-仮説2参照)

浜周辺、あるいは後背の山地における開発行為は、泥土の流出や砂の補給が断たれるなど、鳴き砂にとって影響が大きい。開発の際には慎重なアセスメントが必要である。鳴き砂を守るために、アセスメントを徹底し、場合によっては開発そのものを法的に規制する必要がある。

(2) 生活雑排水等の浄化システム整備(1-2-(3)-仮説3参照)

二丈町の浄化槽の普及率は高くなく、一時期よりは改善されたといえ、生活雑排水による海水の汚染は鳴き砂保全にとって不安材料である。より一層の浄化槽の普及の促進に力をいれなければならない。

(3) パーキングの改善(1-2-(2)-10.,1-2-(3)-仮説6参照)

姉子の浜に接して幹線道路沿いの休憩所(パーキング)があるため、タバコの吸いがらがそこから砂浜に投棄され、砂を鳴かなくする。いくらこまめに浜の清掃を行ってもおいつかない。これまでも看板等で訴えているが効果はあまりない。そのため、吸いがらが砂浜に落とされないような構造的な工夫をするか、パーキングの位置を変えるなど、対応を考える必要がある。

(4) レクリエーション利用の規制(2-1-1-4]-質問9参照)

美しい海岸風景に惹かれてやってくるレジャー客であるが、彼等が残していくゴミがあとを断たない。また、バーベキューをした後の燃えかすはタバコの吸いがらと同様、鳴き砂にとって悪い影響を及ぼす。砂浜ですごすという快適な体験をさまたげることなく、鳴き砂にとって負担の大きい行為を規制する必要がある。

(5) ごみ処理方法の確立(2-2-(3)1]参照)

守る会の主な活動が清掃活動であるように、浜のごみは大きな問題である。流木などのごみ袋に入りきれない大きいものは浜に埋めるなどの処理をおこなっている。また駐在区によってゴミの処理の仕方が違う場合がある。どのような処理が環境に負担を与えないか検討する必要がある。また、つきることのないゴミや漂着物そのものを減らす方策も考えられなければならない。

(6) 環境学習プログラムの設定(2-2-(4)参照)

現在までの鳴き砂に関する環境学習は、小中学校で単発的に行われるにとどまっている。鳴き砂の価値を次世代に伝えるために重要な役割を果たす環境学習を継続的に行うにあたって、多様で魅力的なプログラムが必要である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION