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(3) 地域住民の海岸域への取り組み

1] 二丈町内の砂浜の清掃活動

福吉小学校区は6つの「駐在区」から成り、それぞれが月に1度区内の海岸を清掃している。守る会(後述)が結成されてからは、これに加え、区の清掃とは別に守る会の中で区でひと月ごと順番に持ち回り、姉子の浜の清掃にあたっている。

二丈町を含む糸島地域の自治体では、「散乱ごみ指定袋(ボランティア・公共ごみ用)」、通称「ボランティアごみ袋」を無料で配布・回収しており、浜の清掃にはこの袋を活用している。

しかし、袋や回収料が無料とはいえ、季節によっては大量に流れ着くゴミの収拾を地元住民だけで行うことは大きな負担となっているようである。また、袋に入りきれない流木などの大きなゴミをどう処理するか定まっておらず迷っている状況である。

 

ボランティアごみ袋

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2] 砂防活動

福吉地区では昭和30年代までは、年に一度台風シーズンの前に、砂が飛ばされないように松が生えている砂浜に杭をうち、山から採ってきたシダや竹を使って「砂よせ」という壁をつくっていた。「砂よせ」つくりは部落で担当する苦役(くやく)で、一戸からひとりづつ従事した。農業に携わる家はほとんど参加したので、集落の8割の家が参加した。

このように行政にたよらず、自分たちの力を出し合って自主的に集落を守るための作業をするという習慣が下地にあり、この精神が現在の浜の清掃や「守る会」(後述)の活動に受け継がれているといえる。

 

3] 姉子の浜鳴き砂の保全活動

▽「姉子の浜の鳴き砂を守る会」

結成の経緯:(新聞記事より)平成5年に、地元住民により昭和40年頃から途絶えていた鳴き砂が復活したことが確認さた。町は、姉子の浜の砂を金沢工業大学の川村国男教授(土木工学科)に送り分析を依頼し、その後、同教授の現地調査で鳴き砂であることが確認された。鳴き砂復活は全国初と話題になった。これを受けて、鳴き砂を地域資源として守り、対外的にもアピールしていこうという町の意向により、姉子の浜のある地元の福吉公民館に鳴き砂の保護団体の結成を呼びかけ、平成7年6月25日に「姉子の浜の鳴き砂を守る会」が結成された。

守る会結成の目的と活動内容:(守る会会則より)会の目的は「姉子の浜の鳴き砂を保護するとともにこれを自然のまま次代の人々に引き継ぐことを目的とし、もって二丈町の自然環境の保護に寄与するものとする。」とある。

活動内容としては、「砂浜および周辺の清掃活動」「鳴き砂を守るための広報及び学習研究活動」「その他の目的達成に必要な活動」を挙げている。活動経費は「会費」「寄付金」「その他の収入」による。

 

 

 

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