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尚、価格の安いKCシリーズは、かさ密度が軽過ぎ、逆にメルクは重過ぎであった充填密度から実試験への適合を調べると、CF-11クラスで3:7混合物が適正ボリュームとなり、他の比率の混合物では三角錐を形づくる事はできなかった。

(資料 No.5及び6参照)

b ワットマンCF-11ファイバーセルロースの検証

カラムクロマト用純セルロース充填剤であり、高純度のαーセルロースで作られ酸処理により低灰分となっている。繊維形の異なる4タイプがある。

CFー11は中程度の長さを持つ繊維性セルロースであり、繊維が微細で湿潤状態における繊維長は50〜350μmである。

灰分(%)<0.015

Fe(PPM)<5

Cu(PPM)<2

膨潤後の体積(cm3/g)<3.0

c 走査電子顕微鏡による繊維状セルロースの調査

物理性状の近い、ワットマンCF-11・アドバンテックA・アドバンテックCについて顕微鏡写真をとり繊維形態の比較調査を行った。

1ロットだけの調査であるが、ワットマンCF-11の方が微細セルロース及びほつれ状態の繊維が少なく繊維形状の安定性が見て取れた。

(資料 No.13 参照)

2]実際の試験操作において、乾燥後セルロースを水分値0.5%以下に保つ条件を検討した。

セルロースが吸湿を起こす試験操作に伴う大気との暴露時間の制限はないが、調査の結果では、通常試験操作で20分を超えると水分値が0.5%をオーバーする(資料 No.67 参照)、最終的に水分値を0.5%以下に保てば良いのだが、日本の平均湿度約60%を考慮すると、何らかの手順の工夫が必要になる。

通常の乾燥剤入りデシケーターでは乾燥剤の程度により、かなり吸湿が起こり、安定した低水分値での保存状態を得ることは困難と判断されたので、次のような試験管理手順を設定し規定水分値以下で試験できる手順を策定した。(資料 No.4 参照)

a 乾燥後、熱い状態のままで105℃乾燥に耐える密閉容器に移し冷却する。

b 1回の測定で使用する量のセルロースを、十分に撹拌できる容量を持った密閉容器に試験物質と共に素早く秤り込み密閉する。

c 密閉容器に入っている状態で試験対称物質と十分に撹拌する。

d 測定は1個づつ開栓し、素早く行う。

e 一連の測定で余ったセルロースは再乾燥工程に戻す。但し、繰り返し乾燥による変質の問題があるので注意する。

f 燃焼装置内湿度は年間を通しての安定を得るために約50%に固定する。

 

 

 

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