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5 強制法規改正の検討及び採択
改正MARPOL附属書Iの改正提案
 
5.1 当委員会は、MEPC 54(2006年3月20日〜24日)が今会期による採択の目的で改正MARPOL附属書Iの改正を審議し承認したことを想起した(MEPC 54/21、8.16.1項及び附属10)。同改正提案は、回章状No.2706として、MARPOL第16条(2)(a)に従い、2006年3月31日に事務局長により回章された。
 
5.2 当委員会は、特別海域としての南アフリカ南部海域の指定に関する改正MARPOL附属書Iの改正提案の文書である文書MEPC 55/5(事務局)を審議した。当委員会は、MEPC 54が事務局に当委員会による承認のためMARPOL条約の第16条の規定に従い2008年3月から効力を持つ改正の発効までの間、任意で、貨物タンクの洗浄を控えることをタンカーに促すよう加盟国政府及び産業界に求めるMEPC回章案の準備を指示した。当委員会はさらに、MEPC回章案を議題項目8の下で扱うことを銘記した。
 
5.3 当委員会は、プレナリーで作成された意見を考慮して、改正MARPOL附属書Iの改正提案及び見直しのため起案部会の採択に関するMEPC決議案を規定することに合意した。
 
MARPOL附属書IIIの改正提案
 
5.4 当委員会は、MEPC 54(2006年3月20日〜24日)が今会期における採択の目的でMARPOL附属書IIIの改正提案(改正附属書III)を審議及び承認したこと(MEPC 54/21、10.3項及び附属13)並びに回章状No.2706として、MARPOL第16条(2)(a)に従い、2006年3月31日に機関の事務局長がそれを回章したことを想起した。
 
5.5 当委員会は、海洋汚染のための新しい規定をIMDGコードの改正34-08に組み入れるために改正附属書IIIの発効のための時間枠を合意した2005年9月のDSC 10が改正附属書III案に合意し、それによって承認された過程を維持し一連のIMDGコード内の改正の導入を考慮するばかりでなく妥当な変換を適用することを想起した(MEPC 54/21、10.4項及び附属14)。
 
5.6 当委員会は、MARPOL附属書III改正提案の文書を提供している文書MEPC 55/5/1(事務局)を審議し、改正附属書IIIが現在の附属書IIIの文書と完全に置き換わること及び、採択に関する決議案に示された、発効予定日(2010年1月1日)がIMDGコードの改正34-08と同時実施を計画されていることを銘記した。
 
5.7 当委員会はさらに、文書MEPC 55/5/3で、インドが第8規則(1)に運航要件に関する寄港国監督検査を行う追加の場所として沖合のターミナルを含めることを提案している改正附属書III案の意見を提出したことを銘記した。
 
5.8 検討に続き、当委員会は、インドの提案に合意し、起案部会に改正提案及び採択に関する関連MEPC決議の見直しで考慮することを指示した。
 
状態評価スキーム(CAS)の改正提案
 
5.9 当委員会は、MEPC 54(2006年3月20日〜24日)にMEPC 55における採択の目的でCASの改正を審議及び承認したこと(MEPC 54/21、10.13項及び附属15)及び回章状No.2706として、MARPOL第16条(2)(a)に従い、2006年3月31日に機関の事務局長が同改正提案を回章したことを想起した。
 
5.10 当委員会は、文書MEPC 55/5/2(事務局)を審議して、CASの改正提案が、とりわけ、有効なCAS鑑定書を保持している油タンカーに影響している船籍、船主又は承認機関の変更の場合に用いられる予定であること及びCAS検査の途中での船籍の変更も改正案で考慮されていることを銘記した。
 
5.11 当委員会は、見直しのためCASの改正提案及び採択に関するMEPC決議案を起案部会に委託することに合意した。
 
船舶からの未処理汚水の排出率の基準に関する勧告
 
5.12 MARPOL附属書IVの第11規則(1)で求められている、未処理汚水の排出率のIMO基準を遵守するための勧告を承認しているMEPC決議発行の便宜に関するオーストラリアからの提案(MEPC 55/10/6)を審議して、当委員会は、勧告及び関連MEPC決議案の見直し及び最終化を改正起案部会に課すことに合意した。(10.68項参照
 
LHNSガイドラインの改正
 
5.13 当委員会は、文書MEPC 55/10/6(事務局)でのDSC 11の結果を審議して、沿岸支援船によるばら積みの限られた量の危険及び有害液体物質の輸送及び取り扱いのためのガイドライン(LHNSガイドライン)の改正提案を銘記し、改正提案及び採択に関する関連MEPC決議案の見直し及び最終化を改正起案部会に指示することに合意した。(10.98項参照
 
強制法規改正起案部会の設置
 
5.14 当委員会は、提案文書ばかりでなくプレナリーで作成された決定、意見及び提案を考慮して、強制法規改正起案部会の設置に合意し、以下を指示した:
 
.1 文書MEPC 55/5、MEPC 55/5/1、MEPC 55/5/2及びMEPC 55/5/3ばかりではなくプレナリーで作成された決定、意見及び提案を考慮して、改正MARPOL附属書I(特別海域として南アフリカ南部海域の指定)、MARPOL附属書III(改正附属書III)及び状態評価スキームの改正文書同様採択に関する関連MEPC決議の文書の見直し及び最終化を行うこと;
 
.2 文書MEPC 55/10/3で提出された船舶からの未処理汚水の排出率の基準に関する勧告の見直し及び最終化を行うこと;
 
.3 文書MEPC 55/10/6に記載された沿岸支援船によるばら積みの限られた量の危険及び有害液体物質の輸送及び取り扱いのためのガイドライン(LHNSガイドライン)の改正の見直し及び最終化;
 
.4 2006年10月12日、木曜日に文書による報告書を提出すること。
 
起案部会の結果
 
5.15 当委員会は、Mr. Zafrul Alam(シンガポール)議長の下で2007年10月11日に開催されたMARPOL改正起案部会の報告書(MEPC 55/WP.7)を審議し、同部会が提案した以下の変更及び編集上の調整を銘記した。
 
特別海域として南アフリカ南部水域の指定
 
5.16 当委員会は、同部会の見解と意見が一致し、特別海域の指定で“海域(sea area)”の用語を“水域(waters)”と置き換えることに合意した。当委員会は、MARPOLに関連して、“海域(sea area)”は“地中海(Mediterranean Sea)”、“紅海(Red Sea)等のように名称に関連してのみ使用されることを考慮した。
 
沖合の係留施設
 
5.17 当委員会は、とりわけ、排他的経済水域の外側で行われる寄港国監督の管轄(権)の問題につながる、改正MARPOL附属書IIIの文書に“沖合の係留施設”の定義が十分ではないことに関する起案部会の数カ国の懸念を銘記した。
 
5.18 これに関連して当委員会は、日本の仲裁に従い、MARPOL条約第5条(3)は締約国が“自国の管轄の下にある港湾若しくは沖合の係留施設”でこの条約に適合していないことを理由に何らかの措置をとることができることを認めていること、一方、“管轄(権)”の語は、MARPOL条約第9条(3)で現在は国連海洋法に規定されている“この条約を適用し又は解釈する時に効力を有する国際法に照らして解釈する”ことを想起した。
 
改正の採択
 
5.19 上記の問題を解決して、当委員会は、報告書を一般に承認し、続いて、全会一致で以下を採択した:
 
.1 附属11に記載された、決議MEPC.154(55)による改正MARPOL附属書Iの改正(特別海域として南アフリカ南部水域の指定);
 
.2 附属12に記載された、決議MEPC.155(55)による状態評価スキームの改正;
 
.3 附属13に記載された、決議MEPC.156(55)によるMARPOL附属書IIIの改正(改正MARPOL附属書III);
 
.4 附属14に記載された、船舶からの未処理汚水の排出率の基準に関する勧告の決議MEPC.157(55);及び
 
.5 附属15に記載された、決議MEPC.158(55)によるLHNSガイドラインの改正。
 
5.20 当委員会は、決議MEPC.158(55)により採択された、LHNSガイドラインの改正を適切な行動のため、MSCの注意を促すことに合意した。
 
アルゼンチンの声明
 
5.21 アルゼンチン代表団は、国連海洋法条約第211条6項に起因する例外的及び限定された性質から逃れるため特別海域及びPSSAの指定を増やす危険な傾向に懸念を表明した。
 
5.22 アルゼンチンは、これら海域の指定に関連する問題は、国連海洋法条約の権利と義務に影響するため、その検討において法律委員会を参加させるべきであるとの見解であった。同様に、アルゼンチンは、文書MEPC 55/8で米国が提出したPSSA提案レビューフォームを審議のため法律委員会に委託するべきであると信じた。
 
5.23 最後にアルゼンチンは、決議MEPC.154(55)による改正MARPOL附属書Iの改正(特別海域として南アフリカ南部水域の指定)の採択に関してばかりではなくPSSA提案レビューフォームの承認に関しても立場を保留した。


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