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6 MARPOL 73/78及び関連法規の解釈及び改正
6.1 当委員会は、今までに13件の実質的な文書及び1件の情報文書があり、同様又は関連問題ごとにグループ分けをして、以下の順に扱うことに合意した:
 
.1 改正MARPOL附属書Iの排出要件の実施及び遵守に関連する事項を扱ったMEPC 55/6(ドミニカ)、MEPC 55/6/1(デンマーク)、MEPC 55/6/6(BIMCO)、MEPC 55/6/10(インド)、MEPC 55/6/11(スウェーデン)、MEPC 55/6/12(INTERTANKO及びINTERCARGO);
 
.2 MARPOL附属書Vの見直し関連の事項に関するMEPC 55/6/3(ノルウェー)、MEPC 55/6/4(ニュージーランド)及びMEPC 55/6/7(BIMCO);
 
.3 改正MARPOL附属書I及び附属書IVの種々の要件の明確化、解釈又は修正のための提案であるMEPC 55/6/2(マーシャル諸島及びINTERTANKO)、MEPC 55/6/5(IACS)、MEPC 55/6/8(IACS)及びMEPC 55/6/9(オーストラリア);及び
 
.4 船上の焼却炉の容量に関する情報を提供しているMEPC 55/INF.8(デンマーク)。
 
改正MARPOL附属書Iの排出要件
 
6.2 当委員会は、提出された文書の第一のグループがインドによる文書MEPC 55/14の審議の後にMEPC 54における当委員会の結果に対応したものであることを銘記した。同文書でインドは、船舶の機関室内における廃油の管理に影響している重大な運用上の問題を指摘した。当委員会は、検討の結果として、MEPC 54が以下を行ったことを想起した(MEPC 54/21、14.8項):
 
“.1 油汚染防止機器、特に油水分離器の不十分さは、重大な問題であるとするインドの見解を支持した;
 
.2 加盟国政府及び産業界に、この重要な問題に取り組むため、MEPC回章案及び現在の文書の改正提案を含む、明確な提案の将来の当委員会の会期への提出を招請することに合意した;及び
 
.3 すべてのMARPOL条約締約国、特に寄港国に、十分な受入施設を提供することによりMARPOLの下の義務を果たすことを促した。”
 
6.3 当委員会は、船舶からの運用上の油汚染防止に関連した立法上及び実施の側面に希望を持って重要な変更をもたらす当委員会の有益な検討を促した重要な貢献に対しインドに評価を表明した。
 
6.4 当委員会は、種々の提案及び最良の処理の進め方について、紹介された6件すべての文書を一括で全般的に討議することで合意した。
 
船舶からの油排出を制御するための電子設備
 
6.5 ドミニカは、文書MEPC 55/6で主に海洋環境への違法な油排出への取組に焦点を当てた。しかしながら、それは、監督及び強制が主要航路近くに位置する発展途上国にとって重い負担を与えることを強調し、廃油投棄電子システム(EODMS)の様な、近代的な電子設備を現在の油記録簿(ORB)の“ペン及びインク”と置き換えるために使用することを提案した。これらの電子設備は、改ざん防止及びMARPOL附属書Iに規定された油水操作(機関室内及び貨物)に関連したすべての操作を記録可能でなければならず、全体のシステムは、現在開発中の船舶長距離識別・追尾システム(LRIT)に組み入れることが可能である。
 
6.6 加えて、ドミニカは、改正MARPOL附属書Iの第17規則及び第36規則(それぞれORB PartI及びPartII)をこれに関連して、同様に関連した検査及びIOPP証書の規定も必要に応じて、改正するべきであることを提案した。
 
MARPOL附属書I及び附属書VIに関連した残留物及びビルジ処理の改善
 
6.7 デンマークは、文書MEPC 55/6/1で、残留物及び油性ビルジの処理に関連した規則及び関連ガイドラインの包括的精査を提案した。デンマークの見解では、世界中の海事主管庁が採択したMARPOL違反への寛大なアプローチがないことが船員及び船会社を刑事訴追されやすくしている。この環境で、要件を船上での実行に移せるように、MARPOL規則を(現在はない規則の重要な概念の定義を含む)明確にすることを確実にするためのすべての努力を行うべきである。デンマークが出した具体的に規定する措置は、以下のとおりである:
 
- 油性残留物(スラッジ)及びビルジタンクのための明確な定義の作成;
 
- ORBで文字コード(A〜H)の使用法に関する統一の解釈の作成;
 
- IOPP証書、書式A(油タンカー以外の船舶)及び書式B(油タンカー)の改正;
 
- ビルジ及びスラッジ処理システムの承認に関する追加のガイドラインの作成;及び
 
- MEPC 54で承認された“船舶の機関室内での油性廃棄物の処理システムのための改正ガイドライン”の最新化(MEPC.1/Circ.511)。
 
 当委員会は、デンマークが、その文書で、上記に関連してMARPOL附属書I及び関連法規の改正提案の文書を提出したことを銘記した。
 
ドミニカ及びデンマークの提案に関する意見
 
6.8 BIMCOは、文書MEPC 55/6/6で、デンマークの文書の主要な要旨を支持する一方、機関室ビルジタンクを含む、油水分離システムの改善を提案した。同提案は、より現実的な流体を使用し、試験時間を長く(2.5時間の代りに8-12時間)することにより決議MEPC.107(49)で規定された性能試験の改善を含んでいる。加えて、ビルジタンクは、二重底タンクでなくてもよい、しかし、理想的には、油/水分離能力を提供するディープタンクであることを提案した。
 
6.9 インドは、文書MEPC 55/6/10で、ドミニカ及びデンマークの提案を歓迎し、特に、ビルジ排出量、GPS入力をとおしての船舶の位置、ppmの継続的な記録、三方弁の位置等に関する記録能力を高めるとともに油分計を備えることの利便性の様な、数件の技術的本質の意見を提出した。
 
6.10 加えて、インドは、船上の焼却炉のための最小能力ばかりではなくMEPC.1/Circ.511(船舶の機関室内での油性廃棄物の処理システムのための改正ガイドライン)の強制状況の改良を規定するためにMARPOL附属書VIの第16規則の改正を提案した。
 
6.11 スウェーデンは、文書MEPC 55/6/11で、デンマークの提案(MEPC 55/6/1)を支持し、ビルジ及びスラッジ処理システムの承認に関する追加のガイドライン:ビルジ及び油水分離システムからの廃水が当該システムのいかなる地点においても意図的な希釈ができないことの主管庁による証明の中の、証明するべき状況のリストに追加項目を含めることを提案した。
 
6.12 スウェーデンの見解では、この追加の必要性は、船舶が油分15ppm以下を達成するために油分計に到達する前に油水分離からの廃水を希釈することにより処理の問題を“解決する”ことはより普通になって来ているとして緊急の問題である。この方法により希釈は、最終的に船外排出の前に油又は乳化した油にどの位の量の水を加えるかというだけの問題として、海洋へ排出される総量を削減させることなく、有害油性物質の排出へつながっている。この方法の結果は、このようにMARPOL附属書Iの主要な目的を無効にして、海洋環境に入る油を全く減少させていないことである。
 
6.13 文書MEPC 55/6/12で、INTERTANKO及びINTERCARGOは、デンマークの全体論のアプローチに支持を表明した;しかしながら、同機関は、数件の詳細な技術的情報を明確に述べ、すべての問題を技術的な小委員会へ委託し、そしてそこでMEPC.1/Circ.511並びにMARPOL附属書I及び附属書VI関連規則の徹底的な見直しを行うことが可能であると提案した。
 
ドミニカ及びデンマークの提案の検討
 
6.14 検討に参加した代表団は、ドミニカ及びデンマークばかりでなく、最初の提案に意見を提供したスウェーデン、BIMCO、INTERTANKO及びINTERCARGOの、船上の油性残留物及びビルジ処理システムの質の全体の改善に向けた貢献に、感謝した。
 
6.15 確保した検討の中で、以下の点が出された:
 
.1 多数の代表団が文書MEPC 55/6/1(デンマーク)の提案を支持した、一方、その中の数カ国が同提案の何点かの実用性及び実行可能性について意見を述べた。しかしながら、デンマークが出した規定する変更は、船舶の運航からの海洋汚染防止へ向けたさらなる進歩のための健全な基礎を構成していることが認められた;
 
.2 数カ国の代表団は、ドミニカの提案を支持した;しかしながら、他の代表団は、LRITが開発中であること及び短期的には環境的適用に使用することを意図されたものではないことによりLRITに組み入れるシステムを意図されたEODMSに合意できなかった。この点で、議長は、本当にこのことが問題であることを明示し、MEPC 53が、LRITの将来の環境的機能の可能性を検討し、環境的適用に拡大される際、データ蓄積の能力と容量を備えるまで容易に拡大できる程度に作成する必要があると指摘することに合意したこと(MEPC 53/24、11.41項)を想起した;
 
.3 文書MEPC 55/6(ドミニカ)が委員会のガイドライン(MSC/Circ.1099-MEPC/Circ.405)に従って提出されたかどうかの問題に関して、議長は、MEPC 54が加盟国及び産業界に、現在の法規の改正提案を含む、具体的な提案の提出を招請したことを想起した。ドミニカの提案は、同招請に応じたものである;しかしながら、同提案は、上記6.2.1項及び6.2.2項に述べた、MEPCが作成した提出を求めた目的に関連していないことから、当委員会は、ドミニカに、当委員会のガイドラインの要件に従い、新しい作業計画項目の提案として再提出することを勧告した;
 
.4 7年以上の準備の後2007年1月1日に発効する、改正MARPOL附属書Iは、改正に強制の必要性を示す前にその強み及び弱みを評価するための十分な時間があったことが述べられた;
 
.5 多数の代表団は、提案、及びそれに対する意見、の中心を形成する複雑な技術的問題を政策事項のみを扱う当委員会で検討を行うより技術的な小委員会に委託するべきであることに合意した。
 
6.16 検討の結論を下し、当委員会は、“MEPC.1/Circ.511並びに関連MARPOL附属書I及び附属書VIの要件の見直し”を高い優先度の項目として2008年の完了目標でDE小委員会の作業計画及びDE 50の暫定議題に含めることを合意した。
 
6.17 当委員会は、DE小委員会に、新しい作業計画項目に関する検討で、文書MEPC 55/6/1、MEPC 55/6/6、MEPC 55/6/10、MEPC 55/6/11及びMEPC 55/6/12を考慮することを要求し、加盟国政府及び関連するオブザーバー代表団にこの問題に関連する他の提案をDE小委員会への提出を招請した。


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