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2.2.2 原動機の相当確認等
1)原動機の相当確認は、2.4に規定する試験台におけるNOx計測試験及びパラメータ・チェックに相当する部品確認を行う。
2)1)にかかわらず、別紙2に規定する原動機ファミリー又は原動機グループという概念を用いる場合の原動機の相当確認及び相当手引書の審査に対しては、以下のとおりとして差し支えない。この場合には、2.4に規定される試験は、原動機ファミリー又は原動機グループの代表原動機のみに適用される。
A. 相当確認
(1)代表原動機
 相当確認として、NOx計測試験及びパラメータ・チェックに相当する部品確認を実施する。
(2)代表以外の原動機
 NOx計測試験を省略する。なお、原動機製作者等が実施した記録によりパラメータに関する社内検査が適切に行われていると船舶検査官が判断する場合には、パラメータ・チェックに相当する部品確認を省略して差し支えない。
(3)同一原動機
 (2)と同様。
B. 相当手引書の審査
(1)代表原動機
 当該手引書の内容が適正であることを審査の上、当該手引書を承認する。
(2)代表以外の原動機
 (1)と同様。
(3)同一原動機
 原動機製作者等により当該手引書及び原動機に関する文書管理が適切に行われていると船舶検査官が判断する場合には、当該手引書の内容が既に承認された原動機の手引書と相違ないこと及び当該原動機の製造番号等が記載されていることを確認する等の簡易な審査に留めて差し支えない。
3)2)により別紙2に規定するシリーズで製造される原動機の概念の適用に当たっては、船 舶検査官、船級協会(NK)及び小型船舶検査機構(JCI)の三者間で、承認済みのシリーズ及び含まれる全ての原動機についての情報を共有化する。これらの情報により、既にいずれかの者によって承認済みの原動機との関係が明らかになる場合には、承認した者の別に係わらず、代表以外の原動機又は同一原動機と認めて差し支えない。
 
2.2.3 その他の留意事項
 相当確認を受けていない輸入原動機等に対しては、例えば米国のEPAや外国の船級協会等が承認した当該原動機の放出量確認のデータが申請者により提示され、その内容がNOxテクニカルコードに適合していると認められる場合には相当確認を受けたものとみなし、当該データに基づいて作成された相当手引書の承認及び相当証書の交付を行って差し支えない。
 
2.3 相当手引書(パラメータに関する記録を含む)
2.3.1 相当手引書
1)原動機製作者等は、以下に掲げる記載事項を含む相当手引書を作成し、管海官庁の承認を受けなければならない。また、船舶所有者は、当該手引書を国際大気汚染防止原動機証書と共に船内に備え置かなければならない。なお、相当手引書の標準様式を別紙3に示す。
1. 原動機の仕様及び性能
 船舶安全法に基づく陸上試運転における当該原動機性能の全記録
2. 原動機の設置、整備及び運転にあたり遵守すべき事項(構成部品の種類、取付方法及び調整範囲)
(1)NOxの放出量に影響を与える原動機の構成部品(改造の有無を確認できる詳細な情報を含む)及び調整可能な部品並びにその設定値
(2)許容される調整の範囲及び原動機の構成部品の代替品
(3)NOxの放出量が2.4.4に規定するNOxの放出基準値以下であることを維持するための予備品の仕様
3. 原動機に係る窒素酸化物の放出状況の確認方法
 以下に掲げる船上におけるNOxの放出量の確認方法のうち、船舶検査の際に行う1以上のNOxの放出量の確認方法
ア. パラメータ・チェック法
イ. 船上簡易計測法
ウ. 船上モニタリング法(当該方法を選択する場合には、計測器の製造者により定められた当該計測器の校正及び操作の手順を含むこと。)
4. 原動機の設置及び整備に係る制限事項
 原動機ファミリー又は原動機グループの概念を適用する場合には、別紙2に規定する所属するシリーズの範囲及びそのための条件を示す資料
5. 放出量確認の結果
 2.4.6に掲げる試験報告書の写し。ただし、原動機ファミリー又は原動機グループの代表以外の原動機又は同一原動機の場合には、代表原動機の試験報告書の写しとすることができる。
6. その他
 NOxの放出量低減方法としてアンモニア、尿素、蒸気、水、燃料添加剤等を加える場合には、当該添加剤の消費量がNOxの放出量を放出基準値以下に維持していることを容易に示すための資料
 
2.3.2 パラメータに関する記録
 相当手引書には、相当確認後に行われた調整、改造及び部品の交換を含む全ての変更が記録されるためのパラメータに関する記録の用紙を備えなければならない。なお、当該記録の用紙の標準様式を別紙3の6. に示す。
 
2.4 試験台におけるNOx計測試験
2.4.1 試験の準備
2.4.1.1 原動機の使用形態(以下「テストサイクル」という。)の選択
 試験に用いるテストサイクルは、それぞれの原動機の使用形態に合わせて、以下の1)から4)のいずれかを適用すること。
1)可変ピッチプロペラを有する主機、電気推進船の推進のために発電機を駆動する原動機その他一定の回転速度で運転される主機として使用される原動機については、E2型テストサイクルを適用すること。
E2型テストサイクル 回転速度*注1 100% 100% 100% 100%
出力*注2 100% 75% 50% 25%
重み付け係数
*注3
0.2 0.5 0.15 0.15
 
2)固定ピッチプロペラを有する主機その他出力が回転速度の三乗に比例して運転される原動機として使用される原動機については、E3型テストサイクルを適用すること。
E3型テストサイクル 回転速度*注1 100% 91% 80% 63%
出力*注2 100% 75% 50% 25%
重み付け係数
*注3
0.2 0.5 0.15 0.15
 
3)1)及び2)以外の原動機であって、発電機を駆動する補助機関その他一定の回転速度で運転される補助機関として使用される原動機については、D2型テストサイクルを適用すること。
D2型テストサイクル 回転速度*注1 100% 100% 100% 100% 100%
出力*注2 100% 75% 50% 25% 10%
重み付け係数
*注3
0.05 0.25 0.3 0.3 0.1
 
4)1)、2)及び3)以外の原動機であって、作業用機械を駆動するための補助機関その他補助機関として使用される原動機については、C1型テストサイクルを適用すること。
C1型テストサイクル 回転速度*注1 100% 中速値
*注5
低速値
*注6
トルク*注4 100% 75% 50% 10% 100% 75% 50% 0%
重み付け係数
*注3
0.15 0.15 0.15 0.1 0.1 0.1 0.1 0.15
 
*注1 原動機の各運転状態における回転速度の定格回転速度に対する割合。
*注2 原動機の各運転状態における出力の定格出力に対する割合。
*注3 原動機の各運転状態における使用割合を示す係数。(→2.4.3の5))
*注4 表中の回転速度において発生可能な最大トルクの定格トルクに対する割合。
*注5 「中速値」とは、それぞれ次に定める回転速度の割合とする。
a)トルクが最大となる回転度が定格回転速度の75%を超える原動機の場合は、定格回転速度の75%
b)トルクが最大となる回転速度が定格回転速度の60%から75%の範囲にある原動機の場合は、当該回転速度の定格回転速度に対する割合
c)トルクが最大となる回転速度が定格回転速度の60%未満である原動機の場合は、定格回転速度の60%
*注6 「低速値」とは、原動機が無負荷運転している状態における回転速度の定格回転速度に対する割合とする。
 
5)前述の1)から4)で規定されたテストサイクルの一つですでに承認された原動機に対して新しいテストサイクルの承認を行う場合、新たに全ての試験を行う必要はなく、最初の試験結果に対して更に必要となる試験結果を追加した上で、新しいテストサイクルの重み付け係数を使用して総排気ガス流量の再計算を行うこととして差し支えない。
 
2.4.1.2 計測システムの設置状況及び較正の確認
 各計測機器が、2.2.1 1)(2)ト. の計測システムの設置要領に従って適正に設置されていることを確認する。
1)計測装置
(1)原動機の排気ガスの成分を、別紙4に記載された仕様の分析器により計測すること。なお、これと同等の結果が得られると船舶検査官が判断する場合には、他のシステムあるいは分析器を使用して差し支えない。
(2)2.4.1.1で選択したテストサイクルを実施するために適した特性を持つ動力計を用いること。
(3)トルク及び回転速度等の計測機器は、原動機製作者等の指定した試験台上の運転範囲での出力を計測できるものであること。
(4)計測機器の要求精度は、別紙5の規定に適合すること。
2)計測機器の校正
 計測機器の校正は、国内又は国際標準に対して連続した比較校正が可能(以下「トレーサブル」という。)であるように、別紙5の規定に従って行われること。各計器の校正は、NOx計測試験前に前述の別紙に規定される校正間隔以内で実施されること。なお、原動機製作者等が実施する自主校正が適切な方法により行われていると船舶検査官が判断する場合には、当該校正を認めて差し支えない。
3)計測機器の設置状況
(1)排気ガスのサンプリングプローブ(採取管)の設置位置は、可能な限り、排気ガスシステムの出口上流から、少なくとも0.5mあるいは排気管口径の3倍のどちらか大きい方の位置とするが、少なくとも343K(70℃)以上の排気ガス温度を確保できるように十分に原動機の近くに設置すること。
(2)V形原動機のような多気筒の原動機においては、各々の排気の集合管からガスを採取し平均排出量として計算して差し支えない。
(3)排気ガスの組成がNOx放出低減装置により影響される場合には、排気ガスの採取は当該装置の下流で行うこと。


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