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附属書〔1〕原動機の相当確認及び相当手引書の承認
1. 一般
1.1 適用
 本附属書は、国際条約であるMARPOL 73/78(以下「条約」という。)ANNEX VI(以下「附属書VI」という。)REGULATION 5 & 13による"TECHNICAL CODE ON CONTROL OF EMISSION OF NITROGEN OXIDES FROM MARINE DIESEL ENGINE"(以下「NOxテクニカルコード」という。)に基づく検査の方法である。
 法附則第2条に規定する、法第19条の4第1項の原動機の放出量確認に相当する確認及び法第19条の5の原動機取扱手引書に相当する図書の承認に係る検査の方法は本附属書によること。
 
1.2 用語
 本附属書で使用する用語は次に掲げるところによる。
1)原動機
 原動機の種類は、ディーゼル機関をいう。(検査規則第1条の2)
2)原動機の放出量確認に相当する確認
 原動機の船舶への設置前に行われる、当該原動機からのNOxの放出量が2.4.4に規定するNOxの放出基準値に適合していることを確認することをいう(以下「相当確認」という。)。
3)原動機取扱手引書に相当する図書
 「NOxテクニカルコード」に従った、原動機のNOx排出に影響する全てのパラメータの詳細を記載した記録をいう(以下「相当手引書」という。)。
4)国際大気汚染防止原動機証書に相当する証書
 船舶への設置前に製造工場等で行われる相当確認においてNOxの放出基準値に適合し、かつ、国土交通大臣により承認された相当手引書を受有する原動機に交付される証書をいう(以下「相当原動機証書」という。)。
5)パラメータ・チェック
 原動機の船舶への設置後に行われる、当該原動機のNOxの放出量に影響を与える構成部品及び調整可能な部品(以下「パラメータ」という。)が、相当手引書の記載内容に適合していることを確認することをいう。
 
1.3 略語、添字及び記号
 本附属書において使用される略語、添字及び記号については別紙1による。
 
2. 原動機の相当確認
2.1 適用
2.1.1 本附属書の規定は、出力130kWを超える原動機であって、それぞれ1)に掲げる適用対象に応じて、2)に掲げる日より適用する。(* 法附則第7条)
1)適用対象については、以下のとおり。
(1)適用日以後に建造され又は建造に着手された船舶に設置された機関
(2)適用日以後に製造された機関
(3)適用日以後に原動機の改造が行われた機関
2)適用日については、以下のとおり。
(1)国際航海に従事する船舶:平成12年1月1日
(2)上記の船舶以外の船舶:平成17年5月19日(予定)
(* 附属書VIが日本国について効力を生ずる日)
 
<参考>船舶及び原動機の適用関係
原動機の製造日
適用日以後 適用日前
船舶の建造日 適用日以後
*注1

*注1
適用日前
*注1
×
*注1、注2
*注1 法附則第7条による。
*注2 ただし、適用日以後に原動機の改造が行われたものは適用となる。
 
2.1.2 2.1.1に係わらず、本附属書の規定は、以下の原動機には適用しない。
(* 検査規則第1条の2第3号の用途を定める告示)
(1)海上自衛隊(防衛大学校を含む。)の使用する船舶に設置する機関
(2)救命艇等の災害発生時のみに使用する船舶に設置する機関
(3)船舶に設置され、災害発生時のみ使用される機関
(4)海底及びその下における鉱物資源の掘採時のみに使用する機関
(5)瀬戸内海機船船びき網漁業に用いられる船舶(漁業法第60条第2項に規定されるもの)に設置する機関
 
2.1.3 その他の留意事項
1)建造に着手された日とは、それぞれ以下に掲げる日をいう。
(1)鋼船又は軽合金船の場合
 キールの据え付け又はこれと同様の建造段階にあることを確認した日
 ただし、同様の建造段階とは、以下の段階をいう。
a)特定の船舶と確認し得る建造を確認した段階、かつ、
b)当該特定の船舶について、船殻のみの重量が50トン又は全船殻見積り重量の1%のうちいずれか少ない方の重量より多い建造物の組立てが終了していることを確認した段階
(2)FRP船の場合
 成形型の作成が完了し積層の開始を確認した日
(3)輸入艇等、建造日の確認が困難な船舶の場合
 輸入者又は船主等により提示される適当な書類により確認される日。
 ただし、当該書類により船舶の建造日が確認できない場合は、船舶が完成した日、又は輸入された日を船舶の建造日として差し支えない。
 
2)原動機の改造とは、次の(1)から(3)のいずれかをいう。
(附則第24条)
(1)2.1.1の2)に定める適用日以降に製造された原動機に取り替える改造
(2)原動機の連続最大出力が当該連続最大出力の10%を超えて増加することとなる改造
(3)原動機からのNOxの放出量を増大させることとなる改造
→<参考> 別紙8「パラメータ(NOxの放出量に影響を与える構成部品及び調整可能な部品)」
 
3)原動機の製造された日とは、次の(1)又は(2)のいずれかをいう。
(1)原動機製作者等が発行する証明書等により確認される当該原動機の製造日
(2)船舶安全法の予備検査合格証明書等により確認される当該証明書の交付日
 
2.2 相当確認の概要
2.2.1 相当確認の手順
 重み付け係数を考慮したNOxの放出量が、2.4.4に規定する原動機の定格回転速度における放出基準値以下であることを2.4に規定する試験台におけるNOx計測試験により確認する。
 なお、製造工場等における原動機の相当確認の手順を示したフローチャートを図1に示す。
1)書類確認(I段階)
(1)原動機の相当確認に先立ち、原動機製作者等より提出される以下に掲げる書類について確認する。
イ. 申請書(附則第2条)
ロ. NOx計測試験方案
 2.4に基づき、当該試験を適正に行うことができる内容であることを確認する。
ハ. 相当手引書
 2.3.1の1)に掲げる内容((3)及び(5)を除く)が含まれていること及びその内容について確認する。
ニ. その他(添付書類等)(附則第3条)
 上記イからハに掲げる書類の他、相当確認のために必要な書類について確認する。
(2)(1)に掲げる書類により以下の事項について確認すること。
イ. 対象とする原動機の要目
ロ. 原動機の使用形態及び運転状態(速度、出力、又はトルク)
ハ. 原動機ファミリー又は原動機グループの範囲及び当該原動機を代表原動機とすることの説明資料
ニ. 試験条件
ホ. 使用する計測システム(型式、計測範囲、校正の実施日等)
へ. 排気ガスの算出方法
ト. 計測システムの設置要領
チ. 計測試験のタイムスケジュール
 
2)相当確認(II段階)
 1)で確認された書類の内容に基づき、以下に掲げる相当確認が行われることを確認すること。
(1)NOx計測試験
(2)パラメータ・チェックに相当する部品確認
 
3)審査・承認(III段階)
 2.3.1の1)(3)及び(5)を含む相当手引書の内容について確認の上、当該手引書を承認すること。
 また、相当確認及び当該手引書の承認をもって、相当原動機証書を交付する。
 
図1 製造工場等における原動機の相当確認
(拡大画面:38KB)


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