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(2)土地利用
 十和田湖、奥入瀬渓流、八甲田連峰など有数の景勝地をもつ十和田八幡平国立公園は、1936年(昭和11年)に国立公園に指定され、総面積85,409ha(854.09km2)を有している。そのうち十和田湖のある十和田八甲田地域は、約半分の44,920ha(449.20km2)である2)
 十和田八甲田地域は、国立公園であることから景観の維持を図るため、景観の特質、公園利用上の環境保全の必要性などに応じて、特別保護地区、第1種・第2種・第3種特別地域、普通地域などに区分されている(図2-2-3)。
 
(出典:環境庁自然保護局・青森県自然保護課・秋田県自然保護課 平成9年8月「十和田・八幡平国立公園(十和田・八甲田地域)」区域及び公園計画図)
(この地図の作成にあたっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(行政界・海岸線)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用した。承認番号−平15総使、第579号)
 
 十和田八甲田地域の中心的な集落(休屋、宇樽部)のある十和田湖町の総面積は371.81km2(37,181ha)で、そのうち250.41km2(25,041ha)は十和田八甲田地域に属し、地種区分がなされている。一方、秋田県小坂町の総面積は178km2(17,800ha)で、そのうち35.12km2(3,512ha)は十和田八甲田地域に属している(表2-2-1)。
 
特別地域
  十和田湖町 小坂町
特別保護地区 5,087 388
第1種特別地域 9,295 2,524
第2種特別地域 3,815 600
第3種特別地域 6,366 -
普通地域
  478 -
合計 25,041 3,512
(出典:十和田湖町1999年版十和田湖町勢要覧十和田湖町の肖像、十和田八幡平国立公園「十和田湖 新・美しい自然公園5」(財)自然公園美化管理財団 平成12年、農林水産省統計部ホームページ http://www.toukei.maff.go.jp/
 
 また、十和田湖町の総面積の約72%、同じく小坂町の約80%は山林(森林)である(表2-2-2、2-2-3)。
 
十和田湖町(単位:km2
  公有地 民有地
宅地 0.65 2.08 2.73
0.31 17.48 17.79
3.35 4.04 7.39
山林 220.26 47.83 268.09
牧場 0 0.55 0.55
原野 2.79 2.95 5.74
その他 66.66 2.86 69.52
294.02 77.79 371.81
注1)総面積には十和田湖の面積(59.77km2)は含まれていない。
注2)公有地には、国・県・町有地のほか、財産区有地などが含まれている。
(出典:十和田湖町1999年版十和田湖町勢要覧十和田湖町の肖像)
 
小坂町(単位:ha)
農地(経営耕地)面積 森林面積
総数 樹園地 総数 国有林 民有林
526 414 107 5 14,223 10,l00 4,123
(出典:秋田県ホームページ「美の国あきたネット」http://www.pref.akita.jp/index.htm
 
(1)上水道
 休屋、宇樽部、子ノ口の簡易水道※10の普及率は、ほぼ100%である。この地区に簡易水道(給水所)ができたのは、休屋が1953年(昭和28年)、宇樽部が1961年(昭和36年)、子ノ口が1963年(昭和38年)である。
 十和田湖周辺で最大の観光集落である休屋の年間給水量は170,656m3で、「平成13年度版青森県の水道」によれば、休屋、宇樽部、子ノ口の湧水の水質は、厚生労働省の定める水道法の水質基準を満たしている。
(2)下水道
 十和田湖は、近年水質の悪化が懸念されており、十和田湖周辺水域の生活環境の改善を図るとともに湖の水質保全を目的として、湖畔の主な集落を対象に1980年(昭和55年)から青森、秋田両県が下水道整備に着手している※11 3)。また、両県は1986年(昭和61年)から「神秘な湖とヒメマスを守る下水道事業」というモデル事業をおこなっており、水質の保全にも力を入れている。水質の悪化の主な要因は、年間280万人(十和田八甲田地域への観光客数)を超える観光客の増加に伴う観光施設からの排水、生活雑排水の十和田湖への流入が考えられる。
 また、十和田湖周辺域の終末処理場である十和田湖浄化センターは、1日当たり7,275m3の処理能力を有している。下水道接続率※12は、平成11年度末で青森県側が85.1%、秋田県側が65.4%、両県の合計では約80%となっている4)
 
(出典:「青森県の下水道」青森県土木部下水道課 平成12年9月)
(この地図の作成にあたっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(行政界・海岸線)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用した。承認番号−平15総使、第579号)
 
 図2-2-4は、十和田湖浄水センター※13と放流先である焼山の位置を表したものである。休屋や宇樽部などの下水処理区域から送られた排水は、十和田湖浄化センターにおいて処理され、奥入瀬渓流の先(焼山十和田橋)へ放流されるため、湖内に処理水は流入しない。
 

※10計画給水人口が、5,000人以下の水道事業のこと(水道法)。
※11これは、十和田湖特定環境保全公共下水道事業と呼ばれ、1980年(昭和55年)度より事業に着手し、1991年4月宇樽部・休屋地区、1994年4月から子ノ口で供用を開始している。
※12十和田湖周辺域の建物(商業施設、住居含)に対して、下水道が整備されている比率を表したもの。また、一般に下水道の整備状況は「下水道普及率」で表されることが多いが、これは、下水道を利用できる地域の人口を、町の行政人口で除した値で表したものである。すなわち、下水道普及率は人口に占める水洗便所を利用できる人の数ということである(北海道ホームページhttp://www.pref.hokkaido.jp/kensetu/kn-kgsdo/homepage/hukyuuritutowa.htm)。
※13十和田湖浄化センターは、1991年(平成3年)4月に運行開始され、1日あたりの最大処理能力は7,275m3、流入水量は2,400m3である。







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