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4.3.2 需要動向分析(計画フローチャート、ステップ4)
 
 需要動向分析では、対象者を仮定し、対象者の外出交通量の推計を行った。
 
注)交通機関については、本来はバス交通を含めた高齢者・障害者の利用できる公共交通の整備促進とあわせたサービスの検討が望ましいが、計算上ドア・ツー・ドアSTSのみで100%対応すると仮定し、必要な供給量を推計した。
 
(1)対象者、外出交通量、供給量の推計方法
A. 対象者比率、外出頻度の設定による推計
 ケース1〜ケース9は、対象者を人口の一定割合と仮定し、外出頻度を月4トリップ等のように任意設定した。フィンランドでSTS対象者に最低保障する外出頻度が月18トリップであることを参考に、外出頻度(トリップ数)を設定した。
 
B. 既存アンケート調査の介助必要度と外出頻度からの推計
 ケース10とケース11は、高齢者・障害者に対して行われた既存調査の属性別介助の必要度と外出頻度を反映した設定である。例えば、身体障害者の場合、障害の種類と程度別に外出頻度を試算し、トリップ数を算出した。試算式を以下に示す。
 
Us = Pi × α × β
 
Us:対象者数
Pi:高齢者・障害者人口
α:対象者の範囲となる選択肢の回答比率(%)
β:高齢者・障害者以外の移動困難者を考慮した調整係数(1.0以上)
試算では、β=1.0と設定した。
 
Ts = Us × Ti
 
Ts:1日の総トリップ数(トリップ/日)
Usi:外出時の介助が必要な者(対象者数)
Ti:1人あたり1日の平均トリップ数(トリップ/日/人)
 
Ti = Ty × 2 / 365
 
Ty:1人あたり年間総外出回数(回/年)
 
 ケース10、ケース11の外出交通量の推計においては、表4-28のように障害の種類と程度別に分けて、介助の必要有無別対象者を推計した。高齢者についての検討、外出交通量の計算例については「参考資料1」に掲載した。
 
表4-28 身体障害者アンケート結果による対象者の検討例
資料:厚生労働省 「平成13年身体障害児・者実態調査結果報告」
 
(2)対象者、外出交通量の推計結果
 表4-29に各ケース別対象者、外出交通量の推計結果を示した。既存アンケート調査の介助必要度と外出頻度から推計するケース10、11の外出頻度の結果は約21〜22トリップ/月であり、フィンランドのSTS対象者に最低保障する外出トリップ数の月18トリップとほぼ同等である。
 
表4-29 対象者、外出交通量(総トリップ数)の推計結果
ケース 対象者(人) 外出頻度(トリップ/月) 外出交通量(総トリップ数/日)
A. 対象者比率、外出頻度の設定による推計
ケース1 人口の5%
(19,756人)
4トリップ/月 2,633
ケース2 8トリップ/月 5,267
ケース3 16トリップ/月 10,533
ケース4 人口の2%
(7,903人)
4トリップ/月 1,053
ケース5 8トリップ/月 2,107
ケース6 16トリップ/月 4,213
ケース7 24トリップ/月 6,320
ケース8 人口の1%
(3,951人)
4トリップ/月 527
ケース9 24トリップ/月 3,160
B. 既存アンケート調査の介助必要度と外出頻度からの推計
ケース10 介助が必要な者
(6,328人)
障害者
3,588人
(平均外出頻度)
約22トリップ/月
4,528
高齢者
2,740人
ケース11 全面的な介助が必要な者
(3,247人)
障害者
2,227人
(平均外出頻度)
約21トリップ/月
2,261
高齢者
1,020人
 
(3)需要と現状の実施状況の比較
 1日発生する総トリップ数を試算すると、最低527トリップ〜最大10,533トリップである。高齢者の通所関連トリップと障害者の通院・通所関連利用実績(平成13年度実態)を1日あたりに換算して合計すると、平均435.5トリップ(年間158,973トリップ)である。この差は、現状の移送サービス利用者の方が推計における対象者の一部でしかないこと、外出目的の範囲が推計に比べて現状では通院等が中心であること等による。







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