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 磯舟や伝馬船は3分板とか4分板を用いますが、大きな和船は8分板などを用います。指金を用い、指金を置いた方向と五寸とか一尺とかの判り易い目盛で印づけを行う訳です。指金は通り前とか、登りとかに添って正確に置く必要があります。戸立との接面も戸立に添った線を記入し、特に舳登り辺は8寸位の間隔で細かく位置を写します。同時に金場、三ツ角と釘の位置も写しとります。受ける(写す)板を二板継ぎとする事は前頁の磯舟の様に通り前をそのまゝ写し、之を切取って、棚へ写す事が有る場合もありますが、単板では板の挽き曲りで形状が狂って来る場合と、なるべく矧合せに近い形の方が狂いが少い訳です。捩れたり、曲ったりするのが、大きな誤寸法となります。板型受の方法は、部分的に凹凸部が有っても之を詳しく写す事が出来る利点があります。
 
 
 板棚への転写は指金の短辺と長辺のコーナーに印をの様に付けます。之は五寸とか一尺とかを写した指金の位置です。この図では指金の先端が敷の通り前である訳です。マークを付け終ると、之にしない(撓み定規)を合せて通り前の形状を画きます。
 
 
 上棚の場合は、同じ様に開きに合せ、型を受ける板を下棚上縁に廻します。后は下棚と全く同じ要領となります。只、下棚は水平に近いものが、上棚では垂直に近い形になる訳です。之等の形は58、61の様になります。
 
 
 私達が使っていた小型(板図)は、片側は側面線図、反対側は平面線図とし、側面線図の方はオモテナカトモ、の各金場の断面線図が入っており、且つ、開き、深さ、高さ、口巾・・・など すぐに訳る様記入されておりますので、特に指金で測る必要もなく作業の区切り(下棚を付け終ったとか、上棚を付け終ったとかの様な時)には、その部分の高さや巾などは即、確認計測が出来る状態でした。
 
 船梁や肋骨などの配置は省きますが( )には全ての寸法が記入されております。
 
(断面寸法表示の例)
 上図の様に開きと各々の深さと巾を表示してますから、敷→下棚→上棚の区切りで、巾や高さを確認出来るわけです。矧合せの総巾はこの断面から測って余裕を付けて、棚巾の目安とします。(棚巾を表示している事も有ります。)







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