板図には更に各船梁、肋骨、尻掛などを戸立 面を基準として 方向へ各寸法が表示されています。但し船梁の嵌込寸法(差込部)の記入は有りませんが、之は指示があります(各梁で決っている)下棚の上縁(通り前)や上棚の上縁は各棚板の取付終了后に鉞又は鋸挽で削られ仕上げます。この各棚の深さ確認の場合は水平器を用います。(敷を水平に設置する作業を加えて、他に水平器を用うる事は殆んど無い。)
板型受の方法は大要以上の様なものです。板図は后で添付した、寸法表の如く、色々の船が有りますので、それぞれの板図が有り、共同で使用されておりました。
糸を張って型を受ける方法
(型受の道具)
1 尺杖(しゃくづえ)
8分×1寸8分角くらいの堅材の定木で長さは正5尺、全ての作業に用われる。
1尺毎に目盛を入れる(消えない様に四面共切込を入れたもの)
2 自由金(じゆうがね)
木製で大中小様々があり(自分で造るものである)じょうがねと呼ぶ者も有る。
3 下げ振り
一般市販品を使うが船大工一般は自分の墨壺を代用する。
4 指金
5 糸
綿糸を用う。
6 水平器
無玉・敷の水平確認に用う。
型受は2人1組の作業で行います。計測順に説明します。
必要な道具は前文に並べました。水平器は当時、木枠製が多く、狂っているものが、工場には多かったので、1人の大工さんがゴムホースで水もり=水平を行って見せてくれました。その昔は長手の水盤を使ったようですが、ゴムホースは両方のホース口では途中がどの様な形でも水位は同じを保ってくれます。現在ビニールホースなら透けて見えますから尚更使い易い筈です。
1 (1)図の様に中金場から表三ツ角間の無玉上面(ツラ)に糸を張る。
2 表金場で(3)図の様な形で計測を行う。
(3)(4)の説明
a 尺杖を金場の開きに合せて立てる(膝と腕で)
b 指金を尺杖の面に当て、糸からの距離を測る。(記録する)
c 隙間(C)を測り記録する。
之は海具と無玉の接面の海具勾配を削る為の角度寸法
((4)図の糸は中間に浮いてますが、中金場←→表三ツ角間の場合は殆んど糸は無玉の上面位となります。)
d 任意の距離a〜bに糸を張る
e X-X' で三ツ角から糸までの距離(最短)を測る。
f 大型の自由金で無玉の通り前と舳との角度を写す。
之で表の部の計測は終りですが、場合に依り、・金場と三ツ角(1/2)で計測も行います。
3 表金場と戸立の無玉止りの角まで糸を張る
4 中金場、・金場で前記の4a〜d(ebは不要)の計測をする。
(e.gを省くのは棚板のネジレが殆んど無く自由金に依る角度の写し丈で間に合うからです。)
5 戸立・受尻から表三ツ角間の無玉通り前に撓み定規(又は細い材木)を通し密着して添え当てて、金場の位置、釘の位置、三ツ角、受尻角・・・などを全て記入。
表三角は通り前の重ね巾丈を見越して、決定し、中金場も同様に位置を仮決します。表金場、中間金場の計測点を写します。この点は海具の傾斜が中央辺より大きいので指金の延長点は(計測時)必ず糸の上になり、(という事は上図の如く中金場と三ツ角を結ぶ線上より、この両点は上図の様に糸の手前に来ます)
こゝで仮点の表金場と・止りに糸を張って、第2回計測の中金場での糸よりの下り(B)を板上で仮の中金場より距離に合せます。この(B)寸法を合せる事により、・止りの点が決ります。・金場の点も前記の様に写します。之等の金場の前后位置は先に細い桟木で写したものを大体の通り前の形状に桟木を曲げて仮写しを行い、上記の作業を行いますが、各点の上下位置が決った時に改めて正式に縦に線引をします。
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