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 戸立の傾斜は自由金で測ったものを写したものでOKです。船首の舳傾斜は自由金の角度の他にa-b間での高さX-X´と2重の計測をした訳ですが、外板の曲りで海具は船尾へ引張られますから、計測の線より更に舳の頂部で船首方向に○寸○分出す・・・とかを先にのべた経験数値が出て来る訳です。戸立の部は之に較べて捩れが有りませんし、切断するわけでは有りませんから、鉋で均す為の目安である訳です。舳の接面(傾斜面)の計測a-bは、それぞれの辺を余りに大きく採りますと、更に狂いが大きくなるという事になります。でも私共見習工の時に一度この傾斜を間違えて、舳の接面と合わず(短かかったのです。)大変苦労していた者が有りました。
 
起船など四板矧型の場合
(之も小型船の場合は板型受で行います)
 
 各金場での糸を張っての計測ですが、58上の図に印が有ります。之は指金は糸と直角になる様(平面に見て)にして糸からの寸法を測る事です。
 
 上図×の点は前P58.59.60のB.C.に相当し、本当の通り前上縁と指金の面に差=Cが出るのでこの分を差引き、(B-C)=B'として記録する必要が有る。
 
 
2枚矧型の舳部
 
 舳との接面(登り)は四枚矧型では舳が大きく弯曲しており、下棚は捩れも相当に出て来ますので、この辺の通り前(下棚)や登りは二枚矧型の様に部丈は(表金場からの部分)糸型受の他に板型受を併用とする事も有ります。登りの見越し振出し寸法は、例えば下棚三ツ角の高さ(敷上面からの)が1尺2寸有れば登りの上端(上棚三ツ角の所)で1寸2分程出す事に依り、曲げた時、丁度良く納まる・・・と云われた事が有りますが、この作業は余り数多くの出会いが有りませんでしたのでその通りである・・・という確認は持ちませんでした。多くは短くなっては大変ですから1寸8分とか2寸とかの振出し寸法とし、曲げて余ったら切断して嵌込むものもありました。四枚矧型の違う所は1)片舷に二枚の棚板の型受がある。2)下棚は平面的な型受となる。3)上棚は二枚矧型と型受の姿が余り変わらない。4)舳の立ちや隈の要領は二枚矧型とやゝ違う・・・というものでしょう。
 61、62頁(上図)は主として起船を基としたものですが、海具が1寸6分から2寸へと厚くなりますと、長さも20尺以上長くなり棚板も大きくなり、下棚登りの曲げ作業などは、工場の船大工を挙げての作業となります。之等は上棚も下棚もオールハンと申して全員集合です。







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