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 先のに少し 漆でのコーキングの事を書きましたが、こゝでだめ廻りと称する作業の事を話します。和船は洋型船の様に外面よりのコーキング作業は行わず(そのためにも摺合せが有りますが)内部、外部とも、木材自体の不良部と接面個所の必要部に水止め工事を行います。だめ廻りと云うのは、内部工事(肋骨、板肋、船梁・・・などの工事)が始らぬ前に、これらの部材にかくれて終ったり、やり難い場所もあるため、之等を補修する事全般を云います。この水止めなどの仕事は老大工さんが当ります。船の作業全てを知り盡しておりますから、木材自体の悪い所、失敗工事、后で出来ない所・・・全てを心得ており、外面廻りで内部作業が空く時(又は其の反対の時)を見計らって左の頁の様な所を落ちなく行うわけです(虫食い、生節、死節、腐れ節、割れ・・・)このための道具を並べて見ます(詳細は別項で)と。
 
 
 この他に鋸などがあります。腐れ節で抜けるものは、抜いて新しく丸く削った木材を打込み、両側を切断します。抜節というのは節の周丈が皮などのため、隙間が出来、叩くとすぐ抜け落ちる様なもので前記同様の処置をします。生き節というのは一般的な節でその多くは、ひび割れが有ります。之はうるしのペースト状のものを丸ノミでえぐった后に塗り、虫食い孔は楊子と云って同型のもっと太い木を差込みます。又板厚の半分程丈少し広く虫食いなど有る所は、半イレコと称し、この板厚の半分を例えば長さ500m/m×巾150m/mとかを取除き、その后に良質の同材を漆塗の上嵌込んだりします。
 戸立の内面周囲、敷と下棚の通り前、のせ盤の木口、のせ盤と下棚の通り前、舳の内面周り、上棚と下棚の通り前内面など全周に桧皮をつめ、漆を塗ります。
 
 
 外面の通り前は、特に取付時に割れたとか、摺合せ時、鋸が曲って孔が出来たとかなどの特別以外はのみうちはしません。(船が古くなれば、色々と補修が出ます。)
 
生き節の処理
死節の処理
 
戸立の付根部
舳の付根部
 
 敷や無玉を仕上げ、戸立、舳を造り、之を船底材へ取付ける事となります。船底部の方は曲面や凹凸などで事前に接手を作っておく事は無理です。従って、現場で定規で開き(角度)を計測記入の上、接手を造ります。(54頁参照







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