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5.航路の体系的分析61
 航路は一義的な定義が困難なために、通常は個々に分類されて論じられる場合が多く、その類型化の方法は航路を捉える分析者の視点によって異なっている。例えば、自然的な可航性・経済性を主とする「自然的航路」と、自然的可航性の基盤の上に交通的な可航性・経済性をもつ「規制的航路」に分類し、航路の進化発展段階に応じて細分したもの62や、船舶の航行区分から「地形、水深等の制約を受けない大洋航行における航路」、「狭水道等の自然航路」、「しゅんせつ航路」、「法令航路」に大別するもの63がある。また航法という観点から、「古典的、一般常識上の航路」、「海運常識上の航路」、「船舶航行上の航路」、「航行安全上の航路」、「衝突海難防止上の航路」に分類するもの64や、船舶の航行安全の面から、現状で実質的広義の航路を「法定航路」、「法定外航路」、「航行強制・航法規制航路」、「規範的・勧告・推薦航路」に分類するもの65もある。
 本稿では、このような多種多様な航路の分類方法のなかで、航路が有する法的意義や法的性格66に着目し、次のように類型化する。
5.1 ヒューリスティックな航路
 海事関係者の間では、発見的または経験的に、あるいは慣例として、航路という用語を使用している場合がある。例えば、インド航路、沿岸航路、外国航路などが挙げられるが、ここでは、このような航路をヒューリスティックな航路として位置づける。ヒューリスティックな航路は、社会通念上、航跡あるいは航海そのものをさすものが多く、基本的には法的意義または行政的意義を有していない。また航海学の領域から、航法と関連して論じられることもある。
 なお、燈光、形象、採色、音響、電波等の手段により港、湾、海峡その他の日本国の沿岸水域を航行する船舶の指標とするための燈台、燈標、立標、浮標、霧信号所、無線方位信号所その他の施設を航路標識というが、この場合の航路は、一般的には船舶交通としての個々の航海を意味している。しかし、後述する法定航路の区間あるいは中央を示すための指標を意味する場合もある。
5.2 自主設定航路
 本州南岸の剣埼沖から日ノ御埼沖には、社団法人等が自主的に設定している航路があり、海上交通の安全に寄与している。これは、(社)日本船長協会自主設定による改定分離通航方式(the amended traffic separation schemes established voluntarily by Japan captains' association)と呼ばれるものであり、剣埼沖、洲埼沖、風早埼沖、神子元島沖、大王埼沖、潮岬沖、市江埼沖、日ノ御埼・伊島沖に通航路等を、伊良湖岬沖に深水深航路を定めている。この自主設定の分離通航方式は、昭和45年6月1日に同協会の自主的事業として実施に踏み切ったもので、その後の改正を経て今日に至っている。また設定にあたっては、IMOにおいて採択された航路指定の一般通則を参考とし、日本沿岸水域における地理的事情等も考慮している。
 法的意義については、「本分離通航方式は、当協会が自主的に設定、実施するものであり、法的拘束力はないが、その設定の趣旨にかんがみ、多くの船舶が本方式を利用することを切望するものである。」67と説明されており、また水路誌にも「この分離交通方式等は、日本船長協会が自主的に設定したものであり、法的拘束力はない。」68と紹介されている。確かに本分離通航方式は、実定法としての法的拘束力を有していないが、法たる慣習としての地位に達しているか否かについては、当該ルールの実質的な法的判断が必要になる。この点について、米国ニューヨーク南部連邦地方裁判所および第二巡回控訴裁判所の判決では、船舶衝突事件の民事訴訟において、慣習が必要としている「地域の特殊事情(local peculiarities)」の有無を検討した結果、当該海域には法的意義を有している慣習の存在を見いだすことができないとした69。しかし衝突予防方式の目的あるいは実効性の側面から判断した場合、船舶衝突事件の民事責任追及過程における責任分担に関連した法的な義務が生じる可能性もあり、その限りにおいて操船規範(行為規範)としての遵守義務の問題を検討する余地は残されている70
 その他にも、伊勢湾、三河湾および伊勢湾湾口付近における出入航船舶間の海難の防止を図るとともに、これらの出入航船舶と操業漁船との関係の安全を図ることを目的として、(社)伊勢湾海難防止協会が自主規制航路(線)を策定した経緯がある71
5.3 推薦航路
 推薦航路とは、地形・海潮流その他自然的条件のみを考慮の上、航海の安全のために水路図誌の発行者が推薦した航路である。推薦航路を利用する場合は、次のような注意が必要であるとされている72
[1]図載の航路線は他船との行会い、横切りなど交通的条件を考慮していないから、衝突予防及び海上交通に関する航法については関係法令によること。
[2]航路線は航路及び水道の中央と必ずしも一致しないことがある。
[3]推薦航路はある程度の可航幅をもっているが、それを省略して、1本の標準的な航路線で代表してある。
 推薦航路の基本的な概念については、水路図誌編集の立場から詳細な解説がなされており73、航海者に対する有用な情報として認識されているが、推薦航路の性格については、その的確な把握の困難性が指摘されている74
 特に推薦航路の法的拘束力が問題となった判決(東京高判昭36.4.28行裁例集12巻12号2509頁)では、先例的な意義はともかく、水路業務法(昭和25年4月17日法律第102号)に基づき編纂された水路誌に一定の規範性を認め、過失認定プロセスにおいて推薦航路にも関係人に対する法的拘束力を承認している。しかし、確かに水路誌の記載事項に留意することが海事従事者の規範意識にまで高められているといえないこともないが、これは水路誌の事実たる規範性に着目したものであり、第一義的には純法律的な規範性とは異なる性格を有しているといえる75。また判決は、航法規定と対等に水路誌を評価することに無理な理論構成があり、むしろ水路誌の個々具体的な内容を評価し、推薦航路無視を内海水道航行規則第6条の規定との関連で、船員の常務として必要とされる注意を払わなかった不当運航とする理論構成の方が、海技従事者には説得力があるとする考え方もある76。いづれにせよ判例や学説の法的推論プロセスを分析すると、推薦航路は法的拘束力を有していないと解するのが通説であると考えられる。
5.4 指導的航路
 第五管区海上保安本部では、由良瀬戸(友ケ島水道)での船舶交通の安全を図るため、同瀬戸を通過しようとする船舶は、北緯34度15.7分の線と、北緯34度17.7分の線との間においては、東経134度59分の線から150メートル以上離れた右側を航行するよう勧告している(昭和50年8月1日)。また第六管区海上保安本部による釣島水道の右側端航行(安芸灘南航路第1号灯浮標と釣島水道灯浮標とを結んだ線から150メートル以上離れた右側を航行すること)についての勧告(昭和52年11月1日)等がある。
 すなわち由良瀬戸等では、海域を限定して海上保安庁が行政指導により一種の分離通航を実施している。行政指導とは、行政機関が一定の行政目的を達成するために、行政客体に対して非権力的・任意的手段をもって働きかけ、相手方の同意あるいは自主的な協力を期待して行う作用をいう77。したがって行政指導は、講学上、法的拘束力あるいは法的強制力を有するものではない。換言すれば、行政指導とは行政主体の行政客体に対する願望であって、それ自体直接法的効果を有するものではない点において、私法上の意思表示あるいは行政行為とは異なる78。すなわち、現実的には権力的行為形式に近い形態を有するといわれている行政指導は、本来、当該行為の対象となる行政客体の意思決定の任意性と、複雑多岐にわたる行政需要に対する行政主体の柔軟性にその特徴があるといえる。
5.5 法定航路
 本稿における法定航路とは、実定法上の個々の条文に現れるものをいい、法的効果あるいは法的拘束力という点において、前述のようなヒューリスティックな航路、自主設定航路、推薦航路および指導的航路と異なっている。航路という用語が単独的もしくは複合的に使われている代表的な法律としては、海上衝突予防法(昭和52年6月1日法律第62号)、海上交通安全法(昭和47年7月3日法律第115号)、港則法(昭和23年7月15日法律第174号)、港湾法(昭和25年5月3日法律第218号)等がある。個々の法律の中に具体的に規定されている法定航路は、法の趣旨にそった機能を有し、法目的を実現するための法的地位を与えられている。本章では、以下において、特に海上交通法規上の法定航路をとりあげ、その法的性格について論究する。
5.5.1 海上衝突予防法上の航路
 海上衝突予防法においては、航路を単独の用語として規定した条文は見あたらないが、第9条(狭い水道等)に複合的な用語として「航路筋(fairway)」という文言がある。法律上、航路筋の定義に関する明文の規定はないが、一般的には、海底の地形、工作物等により船舶の通航できる部分が限られている水域をいい、旧法たる海上衝突予防法(昭和28年法律第151号)第二六条における「航路筋」とは意味が異なっている79。すなわち旧法において定められていた航路筋とは、狭い水道の中の相当大型の船舶が航行できる水深の深い部分を意味しており、現行法では狭い水道の内側という言葉に相当する。
 海上衝突予防法では、航路筋と狭い水道(陸岸により2〜3海里以下の幅に狭められた水道や海峡)を総称して「狭い水道等」と呼び、特別の航法を適用して船舶交通の安全を図っている。具体的には、右側端通航義務(同法第九条第一項)、通航不阻害義務(同条第二項、第三項、第六項)80、追い越しの信号(同条第四項)、横切りの禁止(同条第五項)、湾曲部の注意航行義務(同条第八項)、びょう泊の禁止(同条第九項)等がある。しかし、狭い水道は日本の沿岸海域に無数に存在するが、新たな概念である航路筋を日本周辺海域において明確に指摘することは容易ではない。抽象的にいえば、航路筋とは、船舶が集中し、一つの慣習的な流れができ、船員の常識として「航路筋」と考えられるようになった水域で、かつ海底地形、人工工作物等により、その側方の限界が、船員の常識により客観的に判別できるような水域である81
 一方、COLREGでは、航路筋という語は、広い可航通路又は港湾当局がしゅんせつし、維持している水道82、あるいは部分的に浅くなっている水域の自然的な進路(natural stretch)83を意味する。
5.5.2 海上交通安全法上の航路
 海上交通安全法第二条(定義)においては、「この法律において「航路」とは、別表に掲げる海域における船舶の通路として政令で定める海域をいい、その名称は同表に掲げるとおりとする。」と規定され、海上交通安全法施行令第三条に基づく別表第二には、浦賀水道航路、中ノ瀬航路、伊良湖水道航路、明石海峡航路、備讃瀬戸東航路、宇高東航路、宇高西航路、備讃瀬戸北航路、備讃瀬戸南航路、水島航路、来島海峡航路といった11の航路の名称が掲げられている。航路の幅員は、伊良湖水道航路や水島航路のように自然的条件によって制約している場合を除き、原則として片側700メートルとしている84
 これらの航路は、輻輳海域での船舶交通の安全を図るために、船舶交通量と可航水域等を考慮して設定された。海上交通安全法の適用海域には、11の航路以外に船舶交通が集中する狭水道もあるが、そのような場所については狭い水道や航路筋での航法を定めた海上衝突予防法第九条等の航法により、また当該規定では船舶交通の安全が担保できないような場所では、海上交通安全法第二五条(狭い水道における航法)に基づく経路によって航行することになる85。航路の海域は海上保安庁が刊行する海図に記載され(同法第三四条)、一定の事項を示すための指標となる航路標識が設置されている(第三五条、規則第三〇条)。
 海上交通安全法では船舶交通の整流効果および秩序ある安全航行を重視し、法目的を実現するための航路に関する種々の交通ルールを規定している。まず船舶の通航状況、通航量、航路幅等を考慮して長さ50メートル以上の船舶に航路航行義務を課し(第四条、規則第三条)、航路の海域では、原則として航路航行船(整流されている船舶)を保持義務船とし、航路出入・横断船(航路交通流を乱すこととなる船舶)を避航義務船としている(第三条第一項)86。また一定の速力の船舶交通流を形成するために、航路の一定区間について航行速力の制限(対水速力12ノット以下)を行い(第五条、規則第四条)、その他の航路における一般的航法や航路ごとの航法も定められている(第六条〜第二一条)。
 このように航路は、海上交通法規の法適用の観点あるいは操船規範(行為規範)の観点からは、海上衝突予防法の一般的ルールが馴染まない一種の法思考的不連続面といった法的性格を有しており、そこでは同一平面上の対等な立場にたつ個別の船舶の動き(2本の航跡交差の問題)に主眼をおくのではなく、一定方向に航行する複数の船舶の“流れ”を重視した交通流(1本の航跡と複数の重なりあった航跡との交差の問題)に着目している。すなわち航路という海域は、船舶の集中や可航水域の制約等といった特殊性があるために、法的には一般海面とは異なる価値体系でとらえる必要があり、その範囲内において交通流の理論ともいうべき合理的法源が存在しているといえよう87
 また航路自体には航法に関する一定の法的地位が与えられているが、航路の出入口付近においては、法的不連続面から生じる法適用上の問題が存在している。例えば第拾雄洋丸・パシフィックアレス号衝突事件では、「本件衝突地点付近の海域は、適用すべき航海法規(航法)が明確でない特異の海域であったといわざるを得ない」88と判示されており、航路出入口付近の航法が指示されていないことは、船舶が輻輳する航路においては立法上の欠陥であって海上交通安全法の航法上の不備を示しているとの指摘もある89
 一方、海域利用調整の観点からは、権利義務関係が陸域に比べて不明確な海域における利用形態間の競合、とりわけ海上交通安全法の立法政策上の問題に基因する船舶交通と漁業との利害衝突が、法的側面と実態的側面の大きなギャップとして存在している90。海上交通安全法上の一部の航路(中ノ瀬航路、浦賀水道航路等)が設定されている海域付近においては、港湾法等の一部を改正する法律(昭和48年7月17日法律第54号)により、港湾法に開発保全航路に関する規定が置かれることになった。
 開発保全航路とは、港湾区域及び河川法(昭和39年7月10日法律第167号)第三条第一項に規定する河川の河川区域以外の水域における船舶の交通を確保するため開発および保全に関する工事を必要とする航路をいい、その構造の保全及び船舶の航行の安全のため必要な施設を含むものとし、その区域は、政令で定めることとなっている(港湾法第二条第八項)。また何人も開発保全航路内において、みだりに船舶等の物件を放置してはならず、工作物の設置等により占用する者は、運輸大臣の許可を受けなければならない(同法第四三条の八)。すなわち開発保全航路は、船舶交通の円滑な流れを確保するために開発および保全を必要とする海域であり、海上交通安全法の航路とは設定する目的を異にする。換言すれば、港湾法は典型的な公物管理法の一つと解されており、開発保全航路は公共用物たる公物として管理されているのに対して、海上交通安全法は警察法たる性格を有しており、航路も公共の安全と秩序の維持という観点から規制されることになる。しかし、開発保全航路の区域の設定、開発および保全の方法等は船舶交通の安全の確保に密接な関係を有しており、両者の調整を十分図っていく必要がある91
 さらに講学上の議論ではあるが、本来は交通警察法規たる海上交通安全法の中に、航路における工作物の設置許可(海上交通安全法第三〇条第一項)等、作用上公物管理権の行使に準じると思われる規定があること、並びに港湾法第三七条の規制と二重に課せられるのを避けるために、工作物の設置許可の規制対象海域から「港湾区域と重複している海域」が除外されている(海上交通安全法第三〇条第一項第二号)が、港湾法第四三条の八第二項の規制との関連では規制対象海域から開発保全航路が除外されていないことを考慮すれば、船舶通航の利益と漁業の利益の競合問題を従来と異なる法的地平で論じることも可能である92
5.5.3 港則法上の航路
 港内における船舶交通の安全および港内の整とんを図ることを目的とする港則法に基づき、雑種船以外の船舶は、特定港に出入し、または特定港を通過するには、海難を避けようとする場合その他やむを得ない事由がある場合を除き、命令の定める航路によらなければならない(港則法第一二条)。港則法施行規則第八条に基づく別表第二には、36特定港に78航路(平成13年9月現在)が定められている。これらの航路は、港の形態および船舶交通の流れの実態を考慮して、船舶交通の流れの円滑化と安全確保を図るために設けられている。
 但し、同法第三七の二(原子力船に対する規制)の規定では、港長が原子力船の航路を指定できることとしているが、この場合にいう航路は、単に船舶の通航経路としての意味であり、第一二条から第三七条までにいう航路と異なるため、第一二条では、「以下第三七条までにおいて単に「航路」という。」として両者を区別している。また、第三六条の三(船舶交通の制限等)の規定に基づく同法施行規則第二〇条の二で定める別表第四の管制対象水域は航路を主体としているが、航路以外の水域も含んでいるため、同条では「水路」としている93
 航路における一般的な航法としては、航路航行船に対する航路出入船舶の避航義務(同法第一四条第一項)、並列航行の禁止(同条第二項)、行き会い時の右側航行義務(同条第三項)、追越し禁止(同条第四項)がある。港則法の航路も前述の海上交通安全法の航路と同様に、航法に関する一定の法的地位を与えられているが、航路の出入口付近における一種の法的不連続面の問題があり、防波堤の入口の航法(第一五条)、雑種船および小型船の航法(第一八条)といった港則法上の特別航法とあわせ、法適用上、避航関係が複雑になる場合もある。その他に船舶は航路においては、原則として投びょうし、またはえい航している船舶を放してはならず(第一三条)、港長は航路を指定して船舶の交通を制限し、または禁止することができる(第三七条第一項)。
 港湾内には、種々の行政作用が交錯しているが、大別すると、港湾の建設、管理運営等に関する管理行政と、交通取締り、検疫の施行、密輸入の防止等の警察行政に二分することができる。港湾の広い意味での管理運営は、これらの両者の機能をあわせ持った方が有利であるとの考えもあるが、管理行政と警察行政とを同一の機関が併有し、いわゆるオールマイティの権限を行使することを避け、施設の管理運営にあたる者は、警察事務に関与すべきではないという考え方により、港則法は開港港則(明治31年勅令第139号)の一部にあった管理事務を削除して警察事務のみとなっている。
 港則法は、港内における船舶交通の安全及び港内の整とんを図るため、行政権の主体である国の執行機関としての港長と国民との間の法律関係について定めている行政法規であり、かつ、その内容が指示、命令、制限、禁止、許可等個人に命令し、強制し、その本来の自由を制限する作用を有する警察法規である94。一方、港湾法は、交通の発達および国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、航路を開発し、および保全することを目的としている(第一条)。
 すなわち警察法たる港則法が適用されている海域は、公物管理法たる港湾法が適用される港湾区域でもあり(但し、重複している部分がほとんどであるが、厳密にいうと同一海域ではない。)、前述の海上交通安全法上の航路と港湾法上の開発保全航路の関係と同様、公物理論に基づく検討が必要になってくる。例えば、その違いが顕著に現れる許可事項においては、警察法たる港則法が海上交通の安全上の工事作業許可(同法第三一条第一項)あるいは行事許可(第三二条)等であるのに対し、公物管理法たる港湾法では港湾管理上の水域の占用許可(同法第三七条第一項)等になっている。換言すれば、港則法で行う規制は交通安全と交通秩序維持の観点からの工事作業に関するものであって、工作物その他の海洋構築物の設置許可あるいは埋め立て許可等とは直接的には関わってこない。








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