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最後の米国建造要件ついては、両者の中間に位置しているとする見方が多い。このため、WTOの交渉次第では、米国建造要件が廃止又は緩和される可能性は捨てきれず、米国造船業界は警戒を緩めていない。

 

(その他の要因)

船舶建造資金融資保証制度であるTitle XIは、内航船の建造には必要不可欠のものである。しかし、共和党は伝統的にこのような特定産業支援策には消極的であり、現在のTitle XIもクリントン政権時代に拡充整備されたものである。同様にTitle XIで融資保証された造船所の近代化資金債務保証で債務不履行(クインシー造船所プロジェクト参照)が生じたこともあり、共和党の一部議員はTitle XI制度に対し、非常に批判的な立場をとっている。海事業界内部でもジョーンズ・アクトで完全に保護されている上に、Title XIによる産業支援を得るのは、国民に説明しにくい、という指摘もある。

仮に、ブッシュ新政権がTitle XI融資保証制度の保証基準の厳格化や保証枠の削減等を実施した場合、ジョーンズ・アクト船の需要が減退する可能性がある。結果として、内航船舶の代替が進まない場合、ジョーンズ・アクト制度が議論の対象として再浮上する可能性はなくはない。また、OPA90でダブル・ハルへの転換が求められている油槽船等で転換が進まず、船腹ショートが発生すれば、同様にジョーンズ・アクト制度が議論される機会となり得よう。

 

 

 

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