1 なぜ、セクシュアル・ハラスメント防止対策が必要なのか
セクシュアル・ハラスメントsexual harassment−通称セクハラは、個人の尊厳と人格を不当に侵害し、また、職員の執務能率や職場秩序に悪影響を与える重大な問題です。昨今、職場におけるセクシュアル・ハラスメント関連の苦情や裁判が多く見られるようになりましたが、これはセクシュアル・ハラスメントが近年増加してきたというより、権利意識の高まり等から潜んでいた問題が顕在化してきたに過ぎない、と捉えるべきでしょう。
セクシュアル・ハラスメントは、職員やその勤務環境に様々な悪影響を及ぼしていますが、平成10年に人事院が設置した「公務職場におけるセクシュアル・ハラスメント防止対策検討会」(座長:奥山明良・成城大教授)
の報告書では、その影響を以下のように整理しています。
○セクシュアル・ハラスメントが職員に及ぼす悪影響
1] セクシュアル・ハラスメントを受けた職員の対応によっては、その勤務条件に不利益な結果を生じさせる可能性
2] セクシュアル・ハラスメントに耐えきれず退職に追い込まれる可能性
3] 個人の尊厳や名誉、プライバシーなどの人格侵害
4] 精神や身体の健康阻害
○セクシュアル・ハラスメントが職場に与える悪影響
1] 職場の人間関係の悪化
2] 組織の志気の低下
3] 職場の秩序の乱れ
4] 公務組織の信頼性失墜
一方、平成9年ll〜12月にかけて一般職非現業国家公務員5,000人(男女各2,500人)を対象に実施したセクシュアル・ハラスメントに関する実態調査(回答率:女性74.2%、男性82.1%)の結果、以下に述べるような公務職場の実態と職員の意識が明らかとなりました。[調査結果の詳細は巻末資料参照]