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第2位以下は、サービスの態度や行動に関するもので、それらはこの第1位の重さには到底及ばない。(「日本編」C-1表参照)。その対策としては、これからの期待項目の第1位「知識能力を駆使して的確な仕事をする」など(同C-2表参照)、具体的な仕事の進め方の改善に要約できるはずである。また国家公務員のサービスに対する満足理由から見ても、第1位「求めたものを迅速に提供してくれたとき」など(同C-3表参照)、まことに具体的である。これを要するに、国家公務員に対して、顧客である国民が親身なサービスの提供を求めている証拠であろう。これまで国家公務員は、ともすれば「国家行政を担当する」と自負して、お高く止った嫌いは無かったかどうか。真撃な反省が求められている。その道はカナダにおける調査結果と同様に、理論より施策、抽象より具体と、案外身近な足元にあるらしいのである。

 

4 国家公務員の仕事の進め方

 

新しい行政管理(NPM)の主な狙いの一つは、公務員の仕事の進め方の改革である。そこでこの点について調べたところ、第1位「事務手続の簡素化」、第2位「書式と書類の単純化」の2項目が、全12項目中で圧倒的な支持を受けた。(日本編C-4表参照)。これらは確かに「小さな政府」の実現を意図するNPM的な具体策ではあるが、なぜかわが国の場合、思い切った「民営化」を示唆するなど、大胆な回答者の指摘はなかった。その反面、カナダにおいては、業務改善の着眼(drivers)の重要項目は、時宜に適したサービス(Timeliness)、熟知した有能な職員の配置(Knowlcdgeable, competent staff)、サービス態度(Courtesy/comfort)、公平な扱い(Fair treatment)、期待した結果の獲得(Outcome)の順に、5項目が挙げられている。両国間のこの違いは、多分に国情の違いによるものであろうと考え、次の項にいま少し詳しく、タイムリーネスについて言及することにした。

 

5 国家公務員のサービスのタイムリーネス

 

国家機関サービスの適否は、公務員対応のタイミングのよさに関連が深いはずである。しかし今回の調査によると、このタイミングはなぜかそれほど優先度は高くなかった。すなわち、サービスに対する不満の12項目の第6位に、「返事を待つまでに時間がかかる」があるほか(日本編C-1表参照)、これからの期待では8項目中の第5位、「待たせないで仕事を片付ける」が挙がっている(同C-2表参照)。また国民が満足するサービスを調べると、11項目中の第7位の「あまり待たされずに済んだとき」(同C-3表参照)、さらに仕事の進め方の希望については、12項目中の第11位「電話口での待ち時間短縮」が挙げられている(同C-4表参照)。これら低い順序の原因は、回答者がさらに優先度の高い項目を選択したからとはいえ、その原因は計りしれなかった。そこで念のため、わが国とカナダ間の「待ち時間の我慢限度」を、コミュニケーションの手段ごとの最大(多)値で対比すると、第2表のとおりであった。

 

 

 

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