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第2表 日本とカナダの待ち時間の我慢限度

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この表から類推できるのは、両国間の我慢の限度は、カナダの方が多少寛容なようであるが、ほぼ同じ傾向にあると見てよいであろう。今回の現地調査では、その他の先進諸国の実態を調べることはできなかったが、コミューケーション技術の進歩が一様に進んでいることを勘案すると、恐らく大差は無くなっているのではあるまいか。

 

III むすび

 

NPMの流れは、いまや先進諸国では年毎に国民の広い支持を集めている。もちろんわが国も行政改革の大枠として、公務員社会に民間の経営感覚を導入する意向が表明されており(たとえば平成13年1月18日、日経参照)、例外ではないはずである。しかし今回の2年間にわたる国際比較の調査研究のむすびとして、ぜひ言及しておかねばならない事実がある。それは、IT技術とグローバル化が進行する21世紀において、わが国の国家公務員は、少なくとも二つの大きなチャレンジを受けている点である。

その一つは、国境、官民、国籍、男女などの障壁が次第に低くなっている現在、これからの公務員、とくに国家公務員の役割はどう変わるのか、新しいヴィジョンを開く必要がある点である。この際新しく配慮しなければならないのは、いまや国政を担当するのはかつての民族国家指向当時のように、国内の政治や行政だけではなく、諸外国や民間、さらには各種のNGO(非政府機関)やNPO(非営利機関)など、ニュープレイヤーを加えなくてはならないことである。また新しい施策の展開には新しい血の導入が必要であるとし、官民人材交流が図られている。今回調べた5ヵ国においては、程度の差こそあれ、すでに制度的に定着している。わが国では、ようやく道は開けたばかりであり、今後一層の努力が望まれる。

いま一つは、NPM構想の中核は確かに「小さな政府」指向に関するチャレンジである。しかしいまや時勢はすでに、その目標は一体どこにあり、どのように達成するかを吟味する時期に到達している。わが国の行政は、国際比較の公式データによれば、第1次臨時行政調査会以来、公務員の雇用情況に関しては、先進諸国の中で最も低い水準にある。たとえばOECD(経済開発協力機構)の1999年公表の関連資料によれば、国内全雇用に対する公務員雇用の比率は、第3表のとおりである。

 

 

 

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