日本財団 図書館


1 公務員に対する厳しい批判

 

そもそもこのプロジェクトを始めるにあたり、近年の高級公務員の不祥事が続き、公務員全体に対する国民の目が厳しくなっていることは自覚していた。しかし調査票を集計して、次のような結果を得て、想像以上に厳しいことを思い知らされた。

 

(1) 公務員の「総合評価」は5段階評価の2.81

 

国際版調査票「これからの公務員の在り方を求めて」の総合評価は、117人の回答者の平均は5段階評価の僅か2.81と、中位値の3.0を下回るものだった。(A表参照)。その理由は「公務員の倫理と価値観の評価」が、なんと2.64と低かったことが影響した。そのために、辛うじて中位値を唯一上回った「公務員に対する今後の期待・要望」の3.07を打ち消す結果になってしまった。

 

(2) 公務員の数は先進諸国に比べて多過ぎる

 

公務員全体に対する国(住)民の評価(B-4表参照)を見ると、13の調査項目中の第5位は「公務員の数は先進諸国に比べて多過ぎる」だった。しかも回答者の81.2%がこの選択肢を選んでいることに驚愕した。いずれこのことについては、「総集編」で詳述するが、事実はこうした民間からの評価とは正反対といえよう。たとえデータの扱いに多少の違いはあるにせよ、OECD(経済協力会初機構)の調査によれば、公共企業体職員を加えた広義の公務員の全雇用に占める比率は、調査時点の1994〜95年現在、わが国は先進23ヵ国の中で最低であった。公務員のイメージチェインジのためにはどうすればよいか。これからの大きな課題である。

 

(3) 「国民をお客様とは考えていない」

 

国家公務員のサービスに対する不満を調べると、調査12項目の中の第1位は、全体の66.7%の支持を得たこの項目であった。(C-1表参照)確かに公務員の一部には、「公務は企業とは違う」として、企業サービスとの比較を忌避する向きがあることは否定しないが、公務員が公僕であるからには、こうした考え方は通用しないはずである。

 

(4) 高齢者は待ち時間に性急か

 

今回の調査研究では、回答者の属性によって選択の較差があるのではないかと考えた。特に国民の17%以上がすでに65歳を越え、急速に長寿国家になった点に注目した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION