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将来の企業の中枢を担う幹部要員を早期に選別することの是非は意見の分かれるところであるが、現に選抜を行っている企業にとっても、その選抜、育成の仕組みと今後における業績重視の方向、企業の活性化等との調和を如何に図っていくかは大きな課題であるといえよう。

 

第20図 選抜の実施時期

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4. 役職定年制

(1) 役職定年制の導入状況〔第21図参照〕

役職定年制を導入している企業は、回答があった企業全体の55.5%で、「導入していない」企業は44.5%であった。「導入していない」企業のうち、全体の40.3%は「今後も導入しない」としており、「導入の予定あり」は僅か4.2%に過ぎない。

昭和61年度の当研究所の調査結果で「一定の役職定年の年齢に達したら役職をはずす」が全体の52%であったので、いわゆる「役職定年制」は15年間のうちにほんの僅か増えたといえる。

 

第21図 役職定年制度の導入状況

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(2) 役職定年の年齢〔第22図及び分析の第49・50表参照

役職定年制を導入している企業に対して、重ねて役職定年の年齢について尋ねた。

まず、役職定年制が定められている役職段階についてみると、「部長級」では91.4%、「部次長級」では90.6%、「課長級」では92.5%となっている。

次いで、具体的な役職定年の年齢について「最低年齢」、「最高年齢」でみると、「部長級」では最低年齢が53歳、最高年齢は61歳、「部次長級」では最低年齢が50歳、最高年齢が58歳、「課長級」では最低年齢が45歳、最高年齢が61歳となっている。

 

第22図 役職定年年齢の定めの有無及び平均年齢

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(3) 役職定年に達した者のその後の処遇〔第23図及び分析の第51・52表参照

役職定年制を導入している企業に対して、役職定年に達した者のその後の処遇について「身分上の取扱い」、「給料の取扱い」に分けて重ねて尋ねた。

。. 身分上の取扱い

役職定年に達した後の身分取扱いについて複数回答で調査した結果、「会社内で処遇(専門職)」が63.5%、「関連会社へ出向(転籍)させる」が47.3%、「会社内で処遇(降任)」が40.7%、「会社内で処遇(その他)」が24.6%となっている。「退職」は11.4%に過ぎない。役職定年制を導入している企業では、役職定年に達した後の処遇を役職段階や個人の資質その他の事情に応じて使い分けている様子がうかがえるが、「関連会社へ出向(転籍)させる」が50%に近い数値となっているのは、調査対象となった企業が比較的大規模な企業で関連会社を持っているものが多いことの現れであろうか、あるいは、関連会社への転出が可能であるから役職定年制を採用できているという面もあるのであろうか。

 

 

 

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