(1) 「高齢者福祉サービス苦情等解決委員会」の設置 ―足立区―
足立区の人口(現在638,000人)は、平成5年をピークに減少傾向にある。しかし高齢化率は、平成10年の13.7%から、介護保険事業計画の目標年次である平成16年度には18.3%になると推定されており、介護を必要とする高齢者数も、平成12年の12,000人から平成16年には14,000人以上になると推定されている。また高齢者世帯人数も平成12年の52,000人から、平成16年には62,000人を超えると見積もられている。
なお、足立区では、第1号被保険者は約97,000人、第2号被保険者は約223,000人である。
ア. 「足立区高齢者福祉サービス苦情等解決委員会」の設置
足立区では、介護保険制度の導入に合わせ、「自由競争と、選択の自由が介護保険制度の根幹であり、サービス提供事業者ではなくなった行政は、情報を徹底的に公開しながら、かつ質の監視」(介護保険課)をしていくとの立場から、介護保険などの高齢者福祉サービスに関する区民からの相談や苦情に対応するための「仕組みづくり」に取り組んでいる(図II.1-(1)を参照)。そのため、平成12年3月、足立区は、区内約300の各種事業者からなる「高齢者市場協議会」(備考参照)の活動を踏まえ、基本的に福祉サービス事業を民間に任せ充実させる方針を打ち出し、「高齢社会対策基本条例」を成立した。
同条例は、1]高齢者の選択を尊重し、福祉・介護サービスの基盤充実のために民間市場の活力を導入すること(条例第3条)、2]高齢社会関連市場の育成を図ること(条例第11条)を目的としている。同条例では、事業者に対しては、1]事業内容を公開すること(条例第5条第3項)、2]事業者間の連携を強化すること(条例第5条第2項)、3]顧客の満足できるサービスを提供し、サービスの自己評価や事業者団体などの評価を受けること、またサービス評価の結果必要ならサービスを改善しなければならないこと(条例第14条第3項)などを求めている(備考参照)。また、区に対しては、サービスの質を確保するための顧客満足度向上支援、サービス評価の基準づくり、評価結果の公表、区民からの苦情を解決する機関(足立区高齢者福祉サービス苦情等解決委員会)の設置(条例第14条)などを求めている。以下では、「高齢者福祉サービス苦情等解決委員会」について検討していきたい。
まず、足立区においては、平成12年3月に区議会において成立した「東京都足立区高齢者福祉サービス苦情等解決委員会条例」に基づき、「介護保険サービス、介護保険外一般施策サービス、高齢者福祉サービスに対する区民の苦情等を公正かつ中立な立場で迅速に処理し、サービスと顧客満足度の一層の向上を図る」(第1条)ことを目指し、区長の付属機関として「高齢者福祉サービス苦情等解決委員会」を設置した。
同委員会は区長が委嘱する5名の委員で構成されている。委員の任期は2年で、一期に限り再任ができる(第3条)。現在、委員は学識経験者、弁護士、人権擁護委員、民生委員、消費者センター相談員に委託されている。同委員会の所掌事項(第2条)は、区長の諮問に応じて、次のような事項を行なうと規定されている。