6.2 耐衝突構造評価法
耐衝突強度要件は以下の手順により評価される。
(1) 破壊により吸収されるべきエネルギーKEの評価法はミノルスキー法に準拠した現行基準と同様((2.1.1)式参照)。
(2) 6.3節に示す簡易解析法を用いて衝突船および被衝突船それぞれについて、衝突貫入深さに対する抵抗力および破壊吸収エネルギーの大きさを算定する。
(3) 衝突船船首の貫入深さが、その先端部においてある基準値(扁平型、尖鋭型それぞれにより異なる)に達した時点で、両者による破壊吸収エネルギーの和がKE以下とならないようにする。(貫入深さの具体的な基準値を制定するためには、現行基準との整合や安全性の面からの再検討を要するので、今後の課題とする。6.4節の適用例はひとつの判断材料になるであろう。)
6.3 損傷についての簡易推定法
(1) 衝突船船首部の圧壊挙動
船首が剛な壁に衝突して圧壊すると仮定して、船首部の崩壊長さと反力との関係を求める。衝突船船首部を図24に示す要領でいくつかの断面に分割し分割された部分の形状を角錐台で近似する。各断面の反力の大きさを5.2節に示す解析手順によって求めることができる。
次にこの解析法を仮想衝突船としたVLCCに適用した結果について例示する。
扁平型及び尖鋭型の2形状について、本解析法を用いて実際に船首部の圧壊量と荷重(反力)との関係を求めた例を図25に示す。解析では、衝突船船首部断面の総てが被衝突船船側と接して圧壊すると見なして(5.4)式から反力を求めた。