山内先生が結論として言われたことは、的確な政策決定支援のための情報やアイディアを出すことが非常に大切だということです。日本には全領域で言うべき政策をはっきりと言えるシンクタンクが絶対に必要だということでした。
5:山内先生講義のアウトライン
お話の内容をおさらいしますと、1:海洋環境モニタリングの諸課題、2:産業廃棄物の環境に対する影響評価、3:湾岸変化の緩和と湾岸海域の生物生産、4:石油事故等対応体制:ナホトカ号重油流出事故のとりまとめ、5:外交的側面から見た海洋問題(漁業交渉など)の5つの柱がありました。また質疑応答セッションでは、この事業が1年かけて追求いたしました「どのようにしたら理想的なネットワーク型のシンクタンクを造ることができるか」という議論を深めました。海外のシンクタンクと活発に共同研究をなさっておられる山内先生のお話はとても有意義でした。
第1回研究委員会-B (1999-6-15)
高瀬鴻氏「世界海運が直面する諸問題」
第1回研究会は欲張りまして、山内先生に引き続き、海運研究所評議員6の高瀬先生から「世界海運が直面する諸問題」についてのお話を伺いました(91〜109頁参照)。高瀬先生は本日もここにお見えですが、日本郵船時代に調査部長を経験されました。われわれの研究グループには、もうひとり日本郵船で調査部長を経験された今井武久先生がおられるのですが、1999年4月から和歌山大学教授に就任されたので、今年は高瀬先生に海運の立場からのご発言をいただいております。
6:海運政策の変遷
高瀬先生のお話の中に、海運政策の変遷の話がありまして、わたくしなどは、なるほどとおもったのですが、戦前の海運は港軍の予備船隊と言うか、シーパワーの象徴として保護されてきたものなのです。
6 (株)海運研究所(代表:三雲太郎)。海運研究所の見解は「近藤記念海事財団四季報」(編集:(株)海運研究所)参照。(株)海運研究所電話:3451-2639、近藤記念海事財団電話:3473-5613。「四季報」には日本の戦後の海運業界をつくりあげた世代の鼎談、今井教授の「海運市場動向分析」ほか、問題提起型論文が掲載される。海運業界の外部の研究者が読んでもためになる。