[II] 海運ジャーナリズム
海運は伝統ある産業であるだけに、100年以上の歴史を有する専門誌や新聞があり、それぞれ優れた問題意識を持って取材に当たり、洞察ある分析力を駆使した記事を掲載しているし、独自の調査に基づくデータの蓄積も持っている。
次にこれらの幾つかについて紹介したい。
(1) Fairplay(週刊) 所在地:ロンドン
同誌は100年の歴史を誇るもっとも古い海運の業界誌。世界中の海運、造船、海上保険などの事件をまんべんなく報道し、解説を加えている。定期的(quarterlyか?)に報告される新造船の発注船リスト「Newbuildings」は権威があり、「何処の造船所に、どういう船を誰が発注したか」が一目瞭然で分かる。また世界の海運会社の要覧「World Shipping Directory」も発行している。
(2) ロイズ船級協会/Lloyds' of London Press / Lloyds' Maritime Information Service
世界で最も豊富なデータの蓄積を持つ機関。Lloyds' Register of Shipsはこれまた100年以上の歴史を持つ世界船名録で、全ての船の明細が収録されている。他にも世界の船の動静、海難事故の記録、海運会社の要覧等、有用なデータを発行している。同社の発行しているLloyds' Listは世界で最も権威がある海運に関する新聞である。またLloyds' Shipping Economist(月刊)は優れた分析力を誇り、立派な解説記事が多い。
(3) Cotainerization International(ロンドン)
コンテナ輸送に関する豊富なデータを有する。月刊の「Contenarization International」とYearbookを発行している。Yearbookはコンテナ輸送に関する「ジェーンズ海軍年鑑」と言うべき存在で、コンテナ輸送に関する各種のデータが網羅されている。
(4) Seatrade Review(月刊)ニューヨーク
総合的な海運専門誌。それなりに掘り下げた記事が載っている。時々国際シンポジウムを主催している。
[III] 情報サービス機関
上記の他に各種の情報提供サービスの会社がある。
(1) Fearnleys
撒積み輸送に関し、豊富なデータを有している。毎年「World Bulk Trade」と「Review 19XX」いう年鑑を出版している。
(2) Jacobs & Partners
タンカー専門のブローカー会社。タンカーの輸送に関し、豊富なデータを有する。毎年「World Tanker Fleet Review」という年鑑を発行している。
(3) その他
その他にもClarkson、Drewryなどの海運市況に強い情報サービス会社、コンテナ輸送や最近では撒積み輸送にも手を伸ばした「Ocean Shipping Consultant」というコンサルタント会社もある。 以上