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そして、結論的に言えば、1]を指名する行為が、上記3.で説明した機能的意味での「記名式裏書」に、2]を指名する行為が同じく「白地裏書」に相当します。(Bolero B/Lには、この他特殊形態として、3]Consignee Holder(紙の船荷証券がいわゆるstraight B/Lである場合の荷受人に相当・正確にはその後の裏書譲渡が不能であり自ら貨物を引き受けることが確定したHolderを意味します。)、及び4]Pledgee Holder(担保の趣旨で裏書を受けたりすることなく事実上船荷証券を預かる者をイメージしていると思われます。電子式船荷証券上の権利を運送人に対して行使するに際しては一旦自己からPledgeeという地位を除去する手続が必要とされています。)がありますがここでは省略します。)

但し、Rulebook本文には、1]を指名する行為と2]を指名する行為との間に、上記3.で述べたような、記名式裏書・白地裏書の機能的差異に相当する差異があること(=後の「所持人」との関係で、従前の1]の指名の受諾は開示され、2]は開示されないこと)は、ストレートな形では規定されていません。それは、Rulebookの付属文書であるOperational Procedures 6.5.2.2による、Endorsement Chain Recordsの送付という制度に見出されます。(Rulebook本文では、紙の船荷証券にswitchした場合における、parties of contracts of carriageのchainの記録の添付(3.7.(2)(d))という制度に間接的に見出されます。)

しかも、1]と2]の行為には、記名式裏書・白地裏書の機能的差異より、もっと重大な差異があります。それは、(Q4-12-1)でも若干説明したように、1]が、その指名の受諾と同時に、電子式船荷証券で表象される運送契約上の権利を有するのみならず義務も負担する(3.5.1.(1)(2))とされるのに対し、2]は、その指名を受諾しても、直ちにはそのようなことにはならず、運送人に対して権利を行使したいときにまず自分で自分を2]から1]に衣替えして、初めて権利の保有と義務の負担という結果を甘受する(3.5.4.(1)(2))という点にあります。そして、このような区分けは、実は紙の船荷証券の全く知らぬ世界であり、Bolero B/Lに独自のものです。

(実際の差異はさほど大きくならない可能性もあります。(Q4-12-1)参照。)

簡単にまとめると、Bolero B/Lの場合、1]Holder-to-order、2]Bearer Holderの指名が、それぞれ、紙の船荷証券における記名式裏書。白地裏書に相当しますが、さらにそれを超えて、1]となった者は、その時点から、Bolero B/Lで表象される運送契約上の義務も負担することになっているのです。

6.現在通産省の予算事業として進行中の国産の電子式船荷証券プロジェクト35であるいわゆるTEDIプロジェクト36の場合、その法的な枠組を規定するTEDI共通規約も作成途上ですので、まだ何とも言えません。

 

35 正確には貿易関係書類全体の電子化プロジェクト。

36 「貿易金融EDI共通基盤システム」開発プロジェクト及び「TEDI共通規約」作成プロジェクト。

 

 

 

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