日本財団 図書館


i. 可能なら(女性を含む)難民の代表が故郷を訪ね、直接状況を確認できるよう手配する(視察訪問)。

ii. 手紙のやり取りを支援する。

iii. 出身国の親戚と無線連絡できるようにする。

iv. 故郷の情報を掲示する。

v. 帰還地域を最近訪れた人との公式・非公式の話し合いを通じて情報を得る。または帰還民や出身国の地方当局者による難民キャンプへの訪問を通じて情報を得る。

 

19. どのような方法であれ、難民が故郷の情勢についてできるだけ公平、かつ客観的な情報を得られるよう注意する。

 

20. 難民は、帰還の意思を自由に表明できなくてはならない。難民は、この種の判断を個人や家族で下すことに慣れていないかもしれないが、自主帰還申告用紙を使うなどして、この点に関する難民の権利を守る計画を立てる。

 

21. 組織化された帰還を実施する場合は、自主帰還申告用紙を使うよう推奨する(付表1参照)。外部または難民内部の一部グループから帰還を強要されている恐れがある場合は、UNHCR職員またはその他の中立的な証人の前で内々に用紙に署名させる。UNHCR職員や証人は、しばしば難民の決定が本当に自主的であるかを聞いて確認する必要がある。状況が許せば、もっと簡単な形で自主性を確認してもよく、名簿で十分な場合もある。

大規模な自然発生的帰還の場合、自主帰還申告用紙の使用は現実的ではない。UNHCRは職員を帰還ルート上に置き、モニタリングや面接、必要な場合は介入し帰還強要の事実がないか判断する。

 

帰還後の待遇

22. 自主帰還が持続するかは、難民に対しどのような保護が再定着時に与えられるかに大きく左右される。

 

23. 出身国には、国民である帰還民を保護する責任がある。しかしUNHCRも、難民保護という任務、および難民問題の持続的な解決方法として自主帰還を追求するというUNHCR事務所規程に定められた責任により、帰還民への関与が許される。

 

24. 帰還民に対する安全な待遇をUNHCRは(しばしば要請されるものの)保証できない。帰還民への関与については、恩赦やモニタリングを含め、UNHCRのハンドブックVoluntary Repatriation: International Protectionに詳述されている。

 

恩赦、確約、保証

25. どんな自主帰還でも、適切な法的安全措置は不可欠である。UNHCRは、帰還合意書にある条件に加え、政府が独自に帰還民に対する恩赦・法的保証を公布するよう推めている。こうした政府文書には、帰還の権利、居住の自由、恩赦の提供などが含まれるべきであり、少なくとも、国外に避難したことを理由に処罰的・差別的な待遇を受けない点は、明記されねればならない。

 

26. 恩赦の策定に際し、政府がUNHCRに相談してきた場合は、以下のふたつの要素を含めるよう提案すること。

i. 集団恩赦――恩赦は、個人ごとに判断するのではなく集団に適用する。

ii. 一括恩赦――恩赦は、できるだけ過去の「犯罪」の種類による区別のない包括的なものにする。犯罪を区別しようとすると、政治犯罪と一般犯罪の明確な線引きができない場合などに大きな問題になりかねない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION