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40. できれば水源から離れた集水所で水を貯留・配給する。こうすれば直接的な汚染が避けられるだけでなく、貯水によって水の安全性も高められる。

 

41. 各家庭が水を家まで運べ、貯めておけるよう最初から計画する。(配水所から家庭まで一度に)10リットル以上運べ、1世帯(5人家族)あたり最低20リットル貯水できる必要がある。そのためには適切な容器(10〜20リットル)が不可欠だ。折りたたみ式ポリ容器が望ましい。容器の用地までの運搬過程に空輸が含まれる場合はなおさらである。ポリ容器は汚物が入らないよう狭口のものが望ましく、バケツ(buckets)など広口の容器は不適当である。カラの調理油容器などが手に入るのならば、これも容器に適している。

すぐ利用できる水が十分にない場合は、水を配給制にして、まず公平な分配を確実にする。

 

42. 配給体制の確立は難しい。まず、必要に応じて常勤の警備員を置き、水源へのアクセスを管理する。配水を管理しないととムダ使いを招く。用地の区域ごとに配給時間を決める。弱者層には特別な手配が必要な場合もある。厳しい配給制限の必要がなくなるよう、あらゆる努力をして利用できる水量を増やさなければいけない。

 

43. これらと平行して、既存の水源からの取水量を増やすと共に、全ての配水システムの有効性を高める措置をとる。水のニーズを、長期的に最もうまく満たせる方法を計画する。主な考慮事項を以下に概説する。

 

◆給水システム

(UNHCRのWater Manual第12章参照)。

 

◆ 給水システムとは、飲用水の生産(集水、浄水処理、貯水)と供給に必要な施設(取水口、ポンプ装置、処理・貯水・配水施設、排水口)の総体をいう。

◆ システムの部品や構成品は互換性があり、需給関係からみて妥当であり、現地で入手できる資源で維持可能であり、できるだけ値段の安いものにする。

◆ システムは、できるだけ大勢の難民を参加させ、短期間で計画・設計・構築し、運営を開始しなければならない。給水システム作りは複雑な作業であり、プロジェクト開始時に必要な専門知識・技術を求める。長期的な運営・メンテナンスに必要なものに最初から留意する。

 

44. 長期的な給水システムを作るための全体的な計画は、できるだけ早く作成すべきだが、少なくとも一部に問題が生じるものである。基礎データが欠けていたり、計画や設計に必要なもの(地図製作用、水文学的データなど)が入手困難な場合も多い。そのため、以下の措置を取るべきである。

i. 適切な水源を探す。

ii. 予備調査。水量と水質を評価する(上記参照)。地形上の利点(勾配)と欠点(ポンプでの汲み上げが必要か)を把握する。難民コミュニティ、他の受益者、受け入れ社会の社会的・経済的特性、難民所在地の環境全般について補足・関連情報を集める。

iii. 実施取り決め。プロジェクトの関係者全員のできること、できないことを調べ運営・メンテナンスを含めた実施上の任務を割り当てる。資金調達、契約手続き、計画のモニタリング、財政上の問題、報告に関する取り決めを明確にする。

iv. 設計の基本的な考え方を確立する(UNHCRのWater Manual第12章第2節参照)。実施時期、技術的な問題、費用効果を考えながら選択肢を検討する。

 

 

 

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