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◆食糧援助の組織化

 

◆ 国連の食糧援助機関である世界食糧計画(WFP = World Food Programme)は、UNHCRとともに難民の食糧と栄養のニーズに対応している。

◆ WFPとUNHCR間の合意覚え書き(MOU = Memorandum of Understanding)は、難民、帰還民、国内避難民に対する食糧供給活動について責任分担と調整メカニズムを定めている。

◆ 食糧計画の目的は、所要量を満たし、栄養のバランスがとれ、嗜好に合い、文化的に許容できる食糧の配給を通じて、健全な栄養状態を回復・維持することである。

◆ ほとんどの難民緊急事態で、UNHCRは食糧・栄養担当の調整官を任命する。このUNHCR調整官は、食糧・栄養計画のあらゆる面を調整する全般的責任を負う。

◆ 難民、特に難民女性をこれらの計画準備に参加させなければいけない。

◆ 有効な食糧援助には、簡単な栄養教育が不可欠である。

 

WFP(世界食糧計画)とUNHCRの協力体制

 

WFPとUNHCRの協力目的は、健全な栄養状態を回復・維持するために、適量の食糧を適時に供給することである。

 

8. この目標は、所要量を満たし、栄養のバランスが良く、嗜好に合い、文化的に許容でき、受益者の自立を徐々に促すような食糧配給を行なうことで達成できる。そのためには緊急事態の初めから、UNHCRとWFPの合同計画立案が必要となる。

 

9. UNHCRとWFPは、食糧援助での協力を定めた合意覚え書き(MOU、巻末の付録3参照)を結んでいる。MOUに基づき、WFPは難民、帰還民、特定の状況下での国内避難民の緊急食糧ニーズに対応し、関連するロジスティクス(輸送・補給)支援を行なう。MOUの適用は、庇護国内の受益者数が5000人を超える場合に限られる。この適用は、受益者数の出身国や庇護国内における居住場所に関係なく行なわれる。UNHCRは、MOUが適用されない援助対象者の食糧ニーズに対応する。

 

10. MOUにあるように、WFPは以下の食品(一般的・選択的給食計画にかかわらず)と、その輸送手段の確保に第一の責任を負う。

 

WFPが供給する食品。

i. 穀類

ii. 食用の油脂類

iii. 豆類その他のタンパク源

iv. 混合食品

v. ヨウ素添加塩

vi. 砂糖

vii.高カロリービスケット

 

11. WFPは、穀類の製粉やWFP供給物資を、あらかじめ決められた配送中継地(EDP = extended delivery point)まで輸送する手配や、EDPの運営・管理の責任も負う。一方UNHCRは、すべての物資のEDPから最終目的地までの輸送と、目的地における配給に対し責任を負う。

 

12. MOUに基づき、UNHCRは補助食品の調達・輸送と、配給では十分対応できない時に必要となる微量栄養素(ビタミン・ミネラル)の供給について責任を負う。

 

UNHCRが供給する物資。

i. 地元の生鮮食品

ii. 香辛料などの調味料

iii. 茶

iv. 粉ミルク

v. 治療用ミルク

 

 

 

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