◆はじめに
1. 緊急事態では、難民は外部の食糧源に全面的に依存する可能性がある。難民の健康・栄養状態と人数を調べる最初の状況把握調査をできるだけ早く実施する。どのような計画が必要かは、この把握調査で決まる。栄養状態を継続的にモニタリングすれば、状況の変化に応じて各計画の重点事項を調整できる。
2. 栄養失調の原因は、たいてい複雑で多岐にわたる(図1参照)。したがって食糧・栄養計画を、保健その他の重要分野と連携させることが不可欠となる。
3. 難民の栄養ニーズに合い、文化的に受け入れられる援助をする。地元の素材を使い、地元で用意した食品のほうが、輸入食品より望ましい。幼児の給食対策には特別の配慮が必要となる。
4. 乳幼児、子ども、妊婦(pregnant women)、授乳婦、病人、高齢者などは、他の難民より栄養失調になる危険性が高い。栄養失調者とその危険がある人を見つけそのニーズを満たすために、特別な措置が必要である。すでに難民が長期の食糧不足に苦しんでいる場合は、最初の状況把握調査の時点で多くが栄養失調になっているだろう。
5. 難民がすでに深刻な食糧不足に苦しんでいる場合は、地元で入手でき、難民が食べることのできる食糧を供給するための即時の措置が必要となる。
6. 難民が食べることのできる食糧が地元で十分入手できない場合は、食糧を地域外から輸送しなければならない。必要なら最初は空輸する。柔軟性と臨機応変さが求められる。本章で示す十分な対応を実現するまでには時間が必要かもしれない。
7. 本章と併せて、Nutrition Guidelines(MSF)とUNHCR/WFP Guidelines for Estimating Food and Nutritional NeedsとUNHCR /WFP Guidelines for Selective Feeding Programmes in Emergency Situationsを参照する。
図1 栄養失調の複合的原因

資料 UNICEF Conceptual Framework of Malnutrition, 1997