保健調整官は、UNHCR計画担当職員のなかで重要な役割を担い、保健分野で指導的役割を果たしたり、管轄する国家機関を支援する重要な役割を果たす。
98. 保健調整官の主な任務は、提供されるサービスのレベルと質を、国内外で認められた基準や医学倫理に一致させることである。
その他の主要な任務。
i. 問題点、ニーズ、資源を適切に把握・評価するために、全関係協力機関の話し合いに参加し、これを推進する。
ii. 保健省、他の国連機関、非政府組織(NGO)と保健・栄養問題を扱う委員会の設置を推進し、またこれらの委員会に参加する。委員会は調整を図りながら優先すべき活動を決め、必要な人材、物資、財源を明確にして、実施計画を立てる。
iii. 全関係機関の協力を促進し、調整委員会での合意通りに計画が実施・モニタリングされるようにする。
iv. 有効な健康情報システムを確立し、これに参加する。
v. 医療処置、職員配置、教育訓練に関する共同規則を作り、実施協力機関に遵守させる。
vi. 救援計画の開始時に、リプロダクティブ・ヘルス活動を調整する経験豊かな有資格者を見つける。
vii. 分野間の調整を図る。
viii. 難民の健康・栄養状態に関する報告をまとめる。
ix. UNHCR職員の医療避難計画の策定を支援する。
99. 死亡率が高いのは、通常、緊急事態の発生から数日間あるいは数週間である。
したがって緊急事態の発生直後に、UNHCR保健調整官を直ちに現地に派遣することが重要となる。
100. 通常、最も速く保健調整官を配備する方法はUNHCRの職員かコンサルタントを派遣することである。これについては直ちに本部の指示を仰ぐ。役職を新設したり、他の国連機関(ユニセフやWHO)や保健省から応援を頼むのは、後の段階でもできる。
その他の専門職員
101. 専門職員が必要かどうかは、UNHCR保健調整官または本部の保健・地域開発課が慎重に検討すべきである。対象者は、疫学者、公衆衛生、リプロダクティブ・ヘルス、精神衛生、栄養学、熱帯医学、小児科、助産学、薬学などの専門家などである。
適切な人格と豊富な経験を持つ職員のほうが、高度な訓練を受けていても現状にそぐわない技能を持つ専門家よりも重要である。
102. 現地の文化、病気の種類、公衆衛生サービスに精通していること、そして緊急事態の経験があることは、医学や医療技術の高度な知識と同じくらい重要である。
国連と専門機関の役割
103. 世界保健機関(WHO)
WHOは、世界のほとんどの国で保健省と直接協力して活動している。難民と周辺地元住民の健康ニーズに対応する際は、WHOと密接に調整する。協力活動の詳細は、巻末の付録3の「WHOとUNHCRの合意覚え書き」に示されている。
104. 国連児童基金(ユニセフ)
緊急事態におけるユニセフとの協力活動は、保健教育と、はしかワクチンや出産/助産用キットの支給が中心となる(詳細は、付録3「UNICEFとUNHCR間の合意覚え書き」参照)。