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105. 国連人口活動基金(UNFPA)

UNFPAとの協力活動は、リプロダクティブ・ヘルスの問題と人口統計が中心になる。詳細は、付録3「UNFPAとUNHCR間の合意覚え書き」に示した。

 

106. 国連エイズ合同計画(UNAIDS)

UNAIDSは、1995年に創設された国連機関間機構で、その目的は各国のHIV/エイズ計画の支援である。難民保健サービスは、これら各国の計画に統合しなければならない。

 

107. UNHCRとのスタンドバイ協定に基づき、米国の疾病対策センター(CDC、ジョージア州アトランタ)は直ちに専門家を派遣し、健康・栄養状態を調べ、伝染病対策と緊急事態対策を改善し、健康情報システムを確立することができる。派遣期間は通常4〜8週間に限られ、本部の保健・地域開発課に要請すれば手配できる。

 

非政府組織(NGO)の役割

108. 事業・実施協力機関は、UNHCRにとって欠かせない協力者である。緊急保健医療計画の協力者をすべて集めて、適宜、保健小委員会を中央と現地に設置する。初期段階は毎日または週1回は会合が必要だろう。通常は保健省の代表者が議長を務め、UNHCR保健調整官がサポートする。不測事態対応計画の立案段階で委員会のメンバーが決まっていれば理想的である。

 

109. 保健小委員会の活動は以下の通り。

任務の割り当て、保健活動に関する他分野(食糧・水・衛生設備など)との情報交換・収集、医療手続き、職員の数と教育訓練に関する共同合意規則の策定、一般的な問題解決。

 

110. 緊急事態において保健分野ではほぼ例外なく外部の緊急援助が必要になる。地元の制度・組織では迅速かつ専門的な対応ができない状況だからである。地元の保健サービスが必要な対応力――すべてのレベルでの人材、インフラ、医療品、専門技術――を備えているということはまずありえない。だがこの対応力も、政府や国連機関の支援により徐々に強化できる。

 

111. NGO(国際、地域、国内)は、慎重に選ぶ必要がある。通常は庇護国政府が選ぶが、どのNGOが緊急事態の対応力を備えているかを政府に助言するのも、UNHCRの仕事である。あるNGOは、長期的な状況での活動は経験しているが、緊急事態の経験は乏しいかもしれない。また別のNGOは、活動領域を純粋な治療行為に限定し、公衆衛生、予防、衛生設備などにはかかわらないかもしれない。

 

112. 小規模なNGO、とくに特定の状況に対応するために新設された団体は、緊急事態に参加する前に適切な対応力があることを示すべきである。

関係機関の数は、最小限にとどめる。

 

113. 緊急事態の初期段階は、NGOの数を必要最小限に留めることが不可欠だ。選ばれる機関は職業意識が高く、経験豊富な人材を派遣でき、過去に政府・UNHCRの双方と協力して緊急事態に対処した経験があることが望ましい。

 

対応の組織化

114. 保健サービスの仕組みの例を、付表2に示した。これは国内外の多くの保健職員がかかわる大規模緊急事態を想定しており、規模が小さい緊急事態では、組織化に必要なレベルは少なくなるだろう。表中の職員の数や資格は、目安にすぎない。実際のニーズは、保健問題、地域の孤立度、その他の要因に左右される。

 

 

 

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