ただし緊急事態の初期段階でのみ使い、長期的なニーズについては依存すべきでない。
68. UNHCRの必須医薬品リストから必要不可欠な医薬品が、適量かつ定期的に支給されるよう、できるだけ早く手配する。疫学的な調査や病気の流行状態に基づき発注する。供給・輸送課は、医薬品の購入や現地への輸送も支援する。
69. 医薬品の消費監視システムの確立は、極めて重要だ。大規模事業では、UNHCR専任の薬剤師が必要な場合もある。難民緊急事態では、難民からの圧力を受けたヘルスワーカーが薬を必要以上に処方する例が少なくない。
70. 緊急事態では、医薬品の一方的な寄付が、しばしば問題となる。これについては複数の機関(UNDP、UNHCR、UNICEF、WHO、MSF他)が医薬品の寄付に関するガイドライン14(指針)を共同作成し、緊急事態に現場へ送られる医薬品と物資のリストを拠出国と利用者に提供している。このリストを参照することにより、現地の職員が「役に立たたない」寄贈品(少量の各種医薬品、無料サンプル、有効期限の過ぎた薬、不適切なワクチン、商品名または不明言語でしか表示のない医薬品)をより分ける時間の無駄が省ける。UNHCRには、国外からの医療品は個別の要請を受けた場合、または専門家の許可を得た場合のみ送る、という方針がある。その旨をWHOの代表、現地の外交団、その他の関係機関すべてに説明する。
検査サービス
71. 難民は、検査施設から離れた場所にいる場合が多い。だが、普通は、現場のごく簡単な検査サービス(laboratory services)で必要を満たすことができる。
72. 伝染病(髄膜炎、細菌性赤痢、コレラ、出血性熱、回帰熱、高マラリア性風土病、肝炎など)の管理と予防では、診断を確認・明確化し、抗生物質の効果を調べるために委託検査サービスが必要になる。これについては、政府当局やWHOと協議する。輸血の際は、実施前にすべての血液のHIV検査が絶対に欠かせない。
◆難民の健康管理体制
◆ 難民状況における保健サービスを組織化するための決まった方法はないが、通常は3段階からなる。すなわち、1)コミュニティ・ヘルスポストと診療所、2)保健センター、3)紹介病院である。
◆ 各段階相互の連絡とフィードバック(診療、予防策の効果の通知など)が何より重要である。
◆ 庇護国の保健施設が紹介センターとして利用することを重視する。そのため、こうした施設の支援について合意し、実施する(付録3の「WHOとUNHCRの合意覚え書き」参照)。
はじめに
73. 保健管理を構成する3段階のレベルは付表2の通り。第1レベルは、ヘルスポスト、診療所、巡回活動からなるコミュニティ・レベルの保健管理。第2レベルは、外来・入院患者部門、傷の手当てと注射、薬局、基礎検査室などの基本設備を備えた保健センターでの保健管理。第3レベルは、緊急産科治療と外科手術、重病患者の処置、検査などを行なう紹介病院での保健管理。紹介病院は、通常、地域・地方・全国レベルの国立施設がなる。
14 WHO, Guidelines for Drug Donations, May 1996.