iii. 食糧の安全性と母乳保育の推進。
iv. 家庭訪問と早期発見の促進。
v. コレラ発生の場合、患者を管理する場所(コレラ処置施設)の特定。
36. コレラがどのようにして発生するのかを予測するのは不可能だ。適切な予防措置を取れば、罹患率は人口の1パーセント未満にとどまる。しかし通常は人口の1〜3パーセントが罹患し、極端な場合にはそれ以上、10パーセントになる場合もある。
37. コレラの発生に迅速に対処するには、上記の予防措置とともに、適切な患者管理計画が必要となる。計画は国またはWHOの計画に従い、水分補給治療、給食の継続、適切な抗生物質投与(特に細菌性赤痢5に対し)に基づく。また、コレラ患者を早期発見するために信頼性の高い監視制度が必要であり、患者数の推移や介入措置の有効性も判断する。
38. コレラの発生に対処し、死亡率を低下させるには、かなりの物的・財政的資源と経験のある人材が必要になる。
39. 緊急の対応を円滑にするため、本部の供給・輸送課はコレラ用救急キットを準備している。救急キットひとつで患者約500人に対応できる。コレラを予防する有効なワクチンは、今のところない。
はしか
40. WHOは、難民と避難民を――特にキャンプにいる場合――はしかにかかる危険性が最も高い集団と類別している。実際、はしかは多くの難民居住地で猛威をふるう。はしかのワクチン接種率はなるべく100パーセントに近づけ、それが無理でも、すぐに予防措置を取る(付録3の「ユニセフとUNHCR間の合意覚え書き」と上記の予防接種に関する節を参照)。
マラリア
41. マラリアも重大な問題となる場合がある。専門家が以下の点に基づいた適切な処置と予防措置を取る。
i. 早期発見と適切な治療。薬に対する抵抗力を調べることも必要。
ii. 特に妊婦(pregnant women)の予防治療(化学予防)。
iii. 病原体媒介生物の繁殖場所をなくす。
iv. 殺虫剤をしみこませた蚊帳の配布や定期的噴霧など、病原体媒介生物の駆除。
42. 化学薬品による防除措置(噴霧または蚊帳に染み込ませる)は、極めて魅力的に思えるが、難民の習慣、季節の変化、蚊の習性、伝染の程度、化学薬品に関する国の計画や登録認可、費用など考慮すべき要素が少なくないので、必ず専門家の助言を得てから実施する。病原体媒介生物の駆除については、第17章を参照。
急性呼吸器感染症
43. 肺炎は、しばしば高い死亡率をもたらす急性呼吸器感染症で、特に5歳未満児の死亡率は高い。したがって、適切な住居と毛布のできるだけ早い提供が不可欠である。保健職員は、呼吸器感染症を診断・治療できるよう、適切な訓練を受けなくてはならない。
44. 表2に、最も一般的な疾病を示した。これは、環境が病気に与える影響とともに、難民の健康に直接的影響ある生活状態の改善策を示している。
5 World Health Organization. Guidelines for the control of Epidemics due to Shigella Dysenteriae Type 1, 1995を参照。