女性と子ども(women and children)
47. 難民、特に、辺境の国境地帯を単独または少規模集団で移動している女性や子どもは、強奪、虐待、性的暴力の犠牲になりやすい。保護の必要性を確実に満たすために、積極的な対策が必要である。
UNHCRは「子どもの権利条約(Convention on the Rights of the Child)」に従い、「子ども」を以下のように定義している。
18歳未満の者。ただし、本人に適用される法律により、これより前に成年に達した者を除く。
性別に基づく迫害は、難民の定義に基づく難民認定の根拠となりうる。
難民女性と子どもの保護に関するUNHCRのガイドラインUNHCR's Guidelines on the Protection of Refugee Women, and Refugee Children: Guidelines on Protection and Care(参考文献を参照)は、保護計画立案者の必読資料である。ハンドブックの第III部、特に第10章では、以下の作業に関わる詳細な情報を取り上げた。
48. すべての分野で、以下を含む適切な計画立案を通じ、難民女性と子どもの保護問題を予防すること。
□ 人口構成、特に性別、年齢別の人口を知っておく。
□ 本来の家族・共同体の構成を維持する。
□ 援助計画を立てる際、特に難民キャンプの設計や日用品の配給方法について、女性たちの助言を求める。
□ 各種サービスを利用する難民女性が新たな危険にさらされないよう、サービスの場を決定する。
□ キャンプ内に照明をつける。トイレまでの通り道に沿った照明は特に重要。
□ 適切な数の女性職員を、特に保護、コミュニティ・サービス、保健職員(health staff)として確保する。
□ 難民自身に警護団を組織させ、女性の保護を重要視する。
□ 女性と子どもの権利について、警察・軍関係者向けに研修を行なう。警察や軍が多く駐在する場所では特に重要。
□ できるだけ早期に追跡調査を開始する。身元確認、書類作成、追跡調査、一時的支援、家族と離ればなれとなった子どもと家族の再会のために、適切な措置を取る(保護者のいない子どもに関する詳細は第10章を参照)。
□ 子どものために活動スケジュールを立て、小学校を作る(武装勢力への徴兵を抑えることができ、重要な保護手段となりうる)。
□ 児童労働を必要としない状況を作る援助に重点を置く。
□ 出生証明書を発行する。出生登録は、国籍の取得や就学の必須条件となったり、追跡調査でも重要な手がかりとなりうる。軍による徴兵、その他の搾取を防止する上でも重要な場合がある。
家族への援助を通じ子どもを助ける。女性を支援し家族の連帯を保つ。
子どもの保護・福利・安全を促進する最良の方法は、家族を支援することである。
家族が一緒にいられるよう、積極的に活動すること。難民女性の健康と身体的安全を促進する措置は、母子の離別を防止できる。家族が離ればなれになったり、強い緊迫状況に置かれていると、子どもは特に危険にさらされる。したがって親をはじめとする養育者が、子どもの必要に対応できるよう優先的な援助を行なう。同時に、親が何を必要としているのかも認識すること。難民家族の中には、独自のやり方で危機に対処したり、助け合うための輪を再び作りあげるための援助を必要とする世帯もある。家族を支援する輪を維持したり再び作りあげるために最善の努力をすること。同居を希望する親族は、その支援を受けるべきである。