UNHCR任務の理解徹底
37. できるだけ具体的にUNHCRの関心と関与の根拠を説明する。地元当局者は、UNHCRの任務や、UNHCRが既に国内の別の場所で行なっている援助活動を知らない場合がある。
説明の際には、UNHCRの事業が完全に非政治的であり、厳密に人道的かつ社会的である点を強調する。
国境におけるプレゼンス
38. 国境当局との連絡を密にし、越境の動きを監視する。これにより難民とも接触ができ、出身国の情勢や、越境の際に国境の両側で生じそうな問題についての情報が得られる。すべての越境地点には職員を常駐させられない場合、各越境地点を頻繁にチェックする必要がある。
39. 難民の入国や処遇に関し国境で保護上の問題が起きた場合、すぐに受け入れ国あるいは関係諸国の管轄当局に通知し、緊急に救済措置を取れるようにする。
難民所在地
40. 難民は、治安上の問題を回避するため、出身国の国境から十分離れた場所に収容されるべきである。
地方当局(local authorities)との継続的連絡
41. 難民の状況に影響を及ぼす決定をする中央政府および地方政府の当局者には、常に連絡を取れるようにしておく。担当者を確認し、連絡をとり、できれば自宅の電話番号や他の連絡方法を教えてもらい、保護問題が起きた時は、すぐに適切な担当者に通知されるようにする。追放・強制送還は短時間に行なわれることが多い。
42. 地方当局内で、直接権限を持つ最高位の担当者に接触し、(少なくとも一時的な)庇護を認めるよう要請する。場合によっては、相手がその地域の軍指令官の場合もある。
43. NGOから地方のインフラや意思決定過程について助言を得たり、地域社会や宗教界の指導者などの地元有力者が力になる場合もある。
44. 地方当局は、首都でUNHCRが行なった、あるいは行なう予定の申し入れについて継続的に通知を受けるべきである。これは政府的、または公式な申し入れに限らず、計画の実務的・援助的側面に関する場合もある。
保護と援助
45. 保護と物的援助は、UNHCRの事業においてそれぞれが相互に補うように計画されるべきである。確実な庇護、及び生命を維持するための物的援助がない援助はありえない。保護だけでは、難民の生活と福利は守れない。UNHCRの介入が物的援助をもたらす――すなわち庇護と緊急事態対応の費用は、地元当局の負担とならない――ことを早期に示すべきである。フィールド担当官は、物的援助の投入範囲について、第III部に記載する初期情報を入手し、地元当局者に通知しなければならない。UNHCRの援助を既に受けた集団に属する人物が、新たに庇護希望者として流入してきた場合も、通常は、可能な範囲で物的援助が確約される。こうした援助責任と保護責任のつながりは、UNHCRにとっては自明でも、地元や中央当局にとっては、さほど明快ではないことに留意する。
登録
46. 登録作業は、緊急事態事業のできるだけ早い段階で実施する(詳細は、第11章「難民人口の推計と登録」を参照)。