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モニタリングと報告

49. 当面の保護を確保したら、状況をモニタリングし、引き続き難民の権利を尊重すべく環境を整備する。

 

50. 事態の進展、実施措置、実施予定措置について、迅速、明確かつ定期的な報告をすることが重要である。これはフィールド担当官から事務所長宛て、事務所長から本部宛て、いずれを問わない。必要に応じて指示を求めたり、本部レベルの介入が適切な場合はそのように推奨する。標準的な状況報告書については、第8章の付表3を参照。

 

51. 正確な現状報告は、政府の介入や国際的支援を動員する際の前提条件となる。

現場のフィールド職員は、すぐにでも援助を開始したいかもしれないが、地元で収集した情報は報告されない限り、あまり役に立たないことを忘れてはならない。

 

取り決めと申し入れ書の作成

52. 現地UNHCRのプレゼンスにかかわる合意など、当局と結ぶ一時的または特別合意は、すべて文書化する。物的支援について正式文書を交わす場合は、必ず保護と恒久的解決策について記載する。

 

53. 一般原則として、申し入れ書は出来るだけ早期に、中央当局の適切な高官宛てに作成する。担当者の地位や申し入れ書の書式は、当該国におけるUNHCRのプレゼンスの性格により決定する。新たに到着した派遣団は、通常、当該国の外務大臣(または内務大臣。国連開発計画〈UNDP〉や大使館のアドバイスを求めること)宛てに申し入れ書を提出する。内容としては、以下が考えられる。

i. 難民流入や難民問題について、UNHCRが入手可能な情報を記載する(必要に応じて内容を絞る。政府当局はUNHCRより多くの情報をもっていることが多い)。

ii. 流入や問題にかかわる人々が、難民高等弁務官の援助対象者である、(あるいはその可能性がある)というUNHCRの見解を示す。

iii. 政府の保護責任を指摘する。

iv. 人々に(少なくとも一時的な)庇護を与えるという確約を求める。

v. UNHCRの援助対象者と認められた場合、原則的にUNHCRが物的援助を行なうとの約束を提案する。

 

54. 現地事務所代表レベルの申し入れ書は、参考のため、政府の代表部が共有したり、本部レベルの申し入れ書の中で引用できるよう、直ちにその内容をUNHCR本部に知らせる。同様に、本部レベルの申し入れ書も、直ちに現場に知らせる。

 

55. 現地事務所の介入のみでは保護の確保が疑わしい場合、代表は直ちに本部レベルの行動を促す。

 

56. 保護が十分に確保されていない疑いがある場合(追放・強制送還、誘拐、恣意的拘禁、虐待、女性や子どもに対する性的暴行など)、口頭および書面の申し入れを新たに行なう必要がある。これを補助するため、現地レベルでは、保護に影響を与える情勢の変化を注意深くモニタリングし、当局が難民流入に関する実務的な問題に対処できるような援助にできるだけ重点を置く。

 

 

 

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