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(7)計画の各段階での評価

・地球深部探査船の本格的運用体制の発足(2002年度初めを想定)、二船の研究運航の開始(2005年度初め)、水深4,000m級ライザーヘの移行(2010年度初め)及びマントルヘの到達2014年度末まで)を主要な区切りとし、それぞれの段階で評価を行って次の段階に進むかどうかを決めることとしている。

 

3.2評価結果

3.1で確認された本計画の内容に対して、本委員会として以下の結論を得た。それぞれの事項について、評価結果に至る本委員会での検討結果については、3.3に記してあるので、併せ参照されたい。

 

3.2.1科学技術上の意義

(1)科学的目標と意義

本計画の科学的意義は多分野にわたり、かつ、高度な専門内容を含むことから、本委員会としては、まず、1997年7月のCONCORDにおける科学目標設定のプロセス及び内容の要当性を検討するとともに、専門家の補足説明の内容も踏まえて、委員会内部の十分な議論を経て評価結果を取りまとめた。

その結果、二船体制の下で新たに可能となる研究課題、あるいは、飛躍的に進展すると考えられる研究課題の主要なものは次の通りと考える。

 

a)海洋底堆積物の分析による古環境の研究

地球深部探査船は、これまで不可能であった深層の掘削や、ガス・油層を含む堆積速度の大きい軟柔層の掘削も可能とすることによって、従来、約1億年前(白亜紀)までが限界であった古環境の解明を約2億年前(ジュラ紀)まで拡大する。一方、二船体制のもとで従来型掘削船は、掘削期間の短い浅層掘削に重点を置くことで掘削サイト数を大幅に増やし、現在から数十万年前までの過去における細かな時間的変動や地域的相違を詳しく知ることを可能とする。

これら両方の掘削船が相互補完することによって、特に急激な気候変動の解明という分野で研究の進展に大きく貢献するものと考える。

 

b)地震発生ゾーンの直接観測

ライザー掘削によって海底下数kmまでの岩盤を貫くことが可能となることにより、巨大地震の発生源とされるプレート間(例えば東海沖のフィリピン海プレートとユーラシア・プレートが接する所)の接触状況を試料採取によって初めて直接目にすることができる。また、掘削孔に設置する地震計その他の測器により、プレート間の結合状態についての実態を提えることも期待される。これらは、巨大地震発生機構の解明に有力な情報を提供するであろう。

 

 

 

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