8.2.2 GISに関するヒアリング調査
本研究を進める中で、平成9年度は主としてそのニーズと調査ユニットの概念、平成10年度は計測機器も含んだ調査ユニットの構成とデータ処理ソフトウェアについて検討を行ってきた。
しかしながら、検討を進めていく中で、実際に調査ユニットを受け入れ、使用してもらうためには、非常時だけでなく、平常時に、そのデータをいかに活用していくかが、大きなポイントであることが明らかになった。
そこで、データ活用法の検討を進めていくうちに、地図情報システム(GIS)に着目し、GISを用いて調査ユニットで計測したデータをベースに、港湾管理情報を付加した「港湾情報管理システム」的なものについても、本研究で調査・検討を行っていくこととした。
ここでは、以下の3カ所についてヒアリング調査を行った結果をそれぞれまとめる。
・(株)パスコ:GISの概念とGISに関する製品についてのヒアリング調査
・運輸省:運輸省も含めた国全体としてのGISへの取り組みについてのヒアリング調査
・五洋建設工業(株):GISの活用法の一例として、GISを用いた施工管理システムに関するヒアリング調査
(1) (株)パスコ
調査日時:平成10年 7月7日
担当部門:(株)パスコ 情報開発センター
(株)パスコは、国内大手の測量会社の1つであり、測量・計測・調査、都市計画、施設設計、施設の施工管理・維持管理等を行う、総合コンサルタント会社といえる。
また、パスコはGISを20年前から手がけている国内唯一のコンサルタントであり、GISや情報技術をベースに建設CALS(公共事業支援統合情報システム)を駆使して、測量から調査、計画、設計、維持管理まで一貫したコンサルティングサービスを提供している。
今回、(株)パスコにおいて一般的なGISシステムの概念およびその製品についての説明を受けた。
GISとは、地図情報システムの名が示すとおり、地図をベースにして様々な情報(土地情報、人工、施設情報 等々)を管理、加工、分析するシステムである。
GISは、地図データに様々な関連情報をリンクしてユーザーが必要とする情報を入力し、ストアーされたデータに対して表・グラフの作成等の様々な加工を行い、これに基づいて様々な解析を行うものであるため、その機能は多機能である。
GISソフトには様々な製品・機能があり、中でも米ESRI社のARC/INFOはWS版のGISとしては世界最大のシェアを持ち、断面図の作成や鳥瞰図の作成等が可能な二次元解析をはじめとする多様な解析機能を持つ。
(ARC/INFOの機能についての説明は4.1.6.1を参照)