3] 交通管理者
イルドフランス圏内の交通は、パリ運輸組合(STP:Syndicat des Transports Parisiens)によって管理されている。主要な任務は、運輸事業者の指定、連絡路線網の整備、運賃調整、交通税の管理配分などである。パリ運輸組合(STP)の意思決定は、管理委員会で行われており、構成メンバーは、中央政府代表、イルドフランス圏知事、パリ市長、地方議会の代表(パリ市議会、各県議会)等となっている。
4] 交通事業体
実際の公共交通を担うのは、パリ運輸公社(RATP:Regie Autonome des Transports Parisiens)である。パリ運輸公社は、一種の公企業であり、その意思決定は、管理委員会で行われており、構成メンバーはイルドフランス圏会議員、県・市会議員等となっている。
(3) 移動制約者への対応
1] バス
イ.バス車両
パリ運輸公社(RATP)等が所有するバス約6,912台(都市間バスは7車種、都市内バスは16車種)を見ると、低床車両(床面高35cm)は54台のみである(全体の0.8%)。パリ市内定期路線57路線のうち、2路線(リヨン駅〜サンラザール駅間、モンパルナス駅〜バスティーユ駅間)に、ようやくノンステップバスが導入された程度である(写真:図7-1参照)。但し、1999年からRATPが購入するバスは全てノンステップバスとなる。また、フランス主要都市と比較した場合、イルドフランスでの整備状況は下位に位置づけられる(表2-6参照)。
都市間バスは、床下に荷物収納スペースを設置しているため、2階建ての観光バスに近く、移動制約者にとって利用は困難である。