植物油
植物油、主に菜種メチル・エステル(RME)はここ数年比較的強いインパクトを与えたもうひとつのバイオベースの燃料です。しかしながら、この燃料はKFBのプログラムには含まれませんでした。
自動車燃料は多くの異なった植物から生産することができますが、そのうち菜種オイルはスウェーデンで使用されている自動車燃料です。生産過程は植物からのオイルを圧搾しそれを純粋化することを含みます。このオイルはその後RMEを形成するため、メタノールと反応させられます。RMEの潤滑性、濃度およびセタン価はディーゼルのものとほぼ同一のため、RMEはディーゼル・エンジンで純粋な形あるいはディーゼルヘの混合の形で使用することができます。たとえば、フランスにおいてはすべてのディーゼル燃料に5%のRMEを混合するという決断がなされました(第8章参照)。
スウェーデンにおけるRMEの使用と国内生産の現在のレベルは年間1万m3の範囲です。ディーゼル・エンジンの使用に関する現在の内訳は、1000m3のRMEがパラフィンと混合され、2000m3が2%の低い混合に使用され、7000m3が100%純粋RMEの形です。スウェーデンにおいて、混合を2%に限定するのは、混合によりスウェーデンで使用される軽油の品質の法的基準以上に高い最終沸点(>285℃)となるためです。
RMEのひとつの長所は、それが比較的安いコストで生産できることであり、反応が小規模の設備で実現できることです。植物油はさまざまな異なったバイオ原材料をベースにして生産でき、ディーゼル・エンジンの燃料として使用できます。スウェーデンにおいて菜種オイルはほとんどのテストに適合した植物油です。これらのオイルはその原形のままで使用できますが、これだとその燃料としての特性は非常に劣ります。このため、その代わりに、このオイルは菜種メチル・エステル(RME)のようなエステルの生産に使用されます。
RMEの使用からの経験はさまざまです。長所のうち、当然のことですがRMEは大気への二酸化炭素の排出を減らす再生可能なバイオベースの燃料です。しかしながら、それはまた欠点もあります。いくつかのテストで主に窒素酸化物のより多い排出が認められています。さらに自動車の寒冷時始動にも問題があり、製品は長期に貯蔵すると品質に変化が起きるなどの問題があります。スウェーデンに関する限り、決定的な限界は、この国では植物油の植物を栽培するための可能性が限られていることです。EUはスウェーデンの植物油の最大許容栽培面積を12万ヘクタールと規定しましたが、これは25万から30万トンの菜種、すなわち菜種オイルの8万から10万の名目量あるいは同量のRMEに相当します。スウェーデンにおいてはこの大半が食品産業で使用され、ごくわずかの部分が技術的使用に利用されます。
このため、燃料としてRMEはEUの共通農業政策に大きく依存しています。EU域内の全体評価は、スウェーデンの農地の5-10%は、すべての保証を含む、年間約5千から1万m3相当のRMEの生産のために利用できる「保留地」とみなされるべきであるとしています。さらに楽観的な推定は年間約2万m3の可能性を示しています。一方でより多い量は食品産業での使用に対して競争力を与えることができます。