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メタノール生産と比較して、DME合成反応は反応器を通じた合成ガスのより多い発生と低圧のため、エネルギーの見地からはほんのわずかだけ効率的でしょう。しかしながら、これまでのところ天然ガスを基礎とした設備だけが詳細に研究されています。一方、もしバイオ原料が原材料として使用されれば、その合成と反応段階は天然ガスに要求されるものと同一です。しかしながら、バイオ原料に基づいたDMEは、関連した酸素生産とガス反応に伴うガス化の段階の必要性のために、明らかにより高価になるでしょう。固体原料を基礎とする施設は天然ガスを基礎とするものより建設に約2倍のコストがかかり、そして明らかにより多くの専任作業要員を必要とするでしょう(すなわち、より多くの人員と保守)。

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DMEは圧力容器とまったく新しい流通システムを要求するので、資金面全体は、ほぼ間違いなく、より高い流通コストに影響されるでしょう。Brandbergその他(1997)によれば、これにはディーゼルと比較してDME1リッター当たり約40オーレに相当する追加コストが含まれるでしょう。

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表5.2.天然ガスおよびバイオ原料からDMEを生産するコストのラフな比較(Elman N、1997)

 

Volvo社と他のエンジン製造業者がDMEに関心を持っているひとつの理由は、燃料としての高い性能と排出ガスの側面です。DMEは短い点火時間を意味し、その結果より清浄な燃焼につながる高いセタン価を持っています(ディーゼルの40-55と比較し55-60)。米国においてはDMEは着火時間を短縮するために、メタノールヘの添加物として使用されています。DMEは金属を腐食させず、燃料システムにとって特別の金属は必要ありません。しかしながら、いくつかのプラスチックがある時間DMEに曝された後に劣化します。このため、密閉材として使う材料の選択には十分な配慮が必要です。

DMEが持続可能な代替燃料となることができるひとつの条件は、燃料がバイオ原料から生産されるということです。まだ世界中のどこにもそのような生産設備はなく、燃料のための開発の条件は現在のところかなり不確実です。スウェーデンに関する限り、DMEは長期的に育っていく代替燃料とはならないでしょう。

 

 

 

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