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施行に伴い、昭和33年法律62号により削除された)の船舶には適用せずとし、また、同法第684条第2項において、本編の規定は端舟その他ろかいのみをもって運転し、又は主としてろかいをもって連転する舟(艀もこれらの小型船舶中に含むものと解する)には適用せずと定めているから、これらの小型船舶を除き、すべての商船について登記をなすことを要するのである。さらに、船舶法第35条は、商法第4編の規定を商船以外の私有船舶に準用するものとする。したがって、商船たると否とを問わず、小型船舶を除き、私有船舶には登記制度が認められるのである(注)。

また、船舶法は、第5条において、日本船舶の所有者は、登記をなした後、船籍港を管轄する管海官庁に備えた船舶原簿に登録をなすことを要する旨を規定するから、私有船舶たると官公有船舶たるとを問わず、日本船舶については、すべてその所有権に関する登記をなすべき義務があるわけである。ただし、前記の小型船舶については、船舶法第20条の規定により、登記制度は認められない。

(3) 抵当権の登記は、製造中の船舶にも適用される。

製造中の船舶は、一般に未だ船舶ではなく、保存登記もなし得ないものであるが、船舶所有者又は造船者に対し、金融上の便宜を与えることを目的として、特に製造中の船舶につき、抵当権の登記を認めている(商法851条)。すなわち、抵当権の登記に関する限り、所有権の登記をなしうる船舶になることを前提として(すなわち、日本船舶となるべきもので総トン数20トン以上のものになる場合に限ると解する)、製造中の船舶であっても、登記制度の対象となるのである(不登簿船から登簿船に改造中の船舶にも適用される。昭和25年9月22日民事局長通達民事甲2546号参照)。

製造中の船舶として、抵当権の登記をなしうるものは、建造工事が如何なる程度に達したものをいうかは、船舶登記規則第33条に掲げる事項からみて、船舶の個性がある程度判別しうる段階、すなわち、竜骨すえ付等がなされた以後のものと解すべきであろう。なお、船舶の抵当権の登記は、外国人のために抵当権を設定した場合にも認められる(昭和26年12月7日法務総裁事務代理回答民事甲2339号)。

なお、(1)及び(2)に述べた船舶の限定は、船舶の総トン数の測度(第4章)及び船舶の登録の制度の適用を受ける船舶についても同様である(いわゆる登簿船又は登記船)。

(注) 商法第684条第2項、第686条第2項及び船舶法第20条に掲げる船舶のごときは、遠距離の航行の用をなさず、積載能力も少いから、海商法又は船舶法における複雑な規定を適用することは不便である。

ゆえに、これらの小型船舶を除外するのであるが、艀又は被曳船のごとき独航機能を有しないものも、同様の理由から登記及び登録上においては、除外船舶中に含まれるものと解されている。

 

第3款 船舶登記の意義及び種類

1. 船舶登記の意義

現行法上、船舶登記とは、登記官たる国家機関が、船舶登記簿と称する公簿に、船舶の表示

 

 

 

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