第4章 船舶の総トン数の測度
前述のように、船舶の総トン数は船舶の個性を示す重要な要素であるから、船舶法上、日本船舶の所有者は、登記及び登録の前提要件として、船舶の総トン数の測度を受けなければならないものとされる(法4条、9条)。
本章では、総トン数20トン以上の船舶について述べる。
第1節 総説
1. 船舶の総トン数の測度の意義及び種類
船舶の総トン数の測度とは、船舶の総トン数を算定するために、船内の内部容積を測ることをいう。船舶法上における船舶の総トン数の測度は、次の3種に分類することができる。
(1) 狭義の船舶の総トン数の測度(船舶の総トン数の新規測度)
新しい登録原因に基づき新規登記をなすべき船舶につき、全般にわたる総トン数の測度をなすことをいう(法4条1項)。いわゆる船舶の総トン数の新規測度(以下本書においては広義のものと混同を避けるためこの語を用いる)と称されるものである(法5条ノ2・4項により抹消の登録をなされた船舶の再用の場合も新規測度となる)。
(2) 船舶の総トン数の改測
船舶の総トン数の新規測度を受けた船舶につき、その総トン数に変更を生じたため(船舶自体の物理的変更又はトン数法及び関係規則の改正等により)総トン数の測度をなすことをいう(法9条1項、細則8条ノ2・1項)。船舶の総トン数の改測は、船舶の上甲板下全般にわたる改測であるか否かにより、船舶の総トン数の全部改測と船舶の総トン数の一部改測とに分ちうる(細則50条ノ2・3項参照)
2. 船舶の総トン数の測度に関する事務管掌者
(1) 管海官庁
船舶の総トン数の性質上、その測度事務は国の行政事務であり、管海官庁が管掌する(総トン数20トン未満の船舶等の総トン数の測度事務は、都道府県知事に機関委任され、取り扱われている。法21条、船籍政令2条)。ただし、外国において日本船舶の総トン数の測度の事務を管掌するものは、管海官庁ではなく、日本国の領事(領事館の長又はその事務を代理するものであって、領事官の職務を行う大使館若しくは公使館の長又はその事務を代理する者を含む。外務省設置法26条2項、3項)である(注1)(法4条、9条、32条)ここに管海官庁とは、船舶の総トン数の測度事務を所掌する運輸局(海運監理部を含む)又は海運支局(注2)の長をいう(運輸省設置法39条、42条、43条、海運支局等設置規程1条2項参照)。